JRA賞「該当馬なし」に拭えぬ違和感…アーモンドアイ落選でも賛否、見識問われる記者投票の意味
JRAは10日、「2022年度JRA賞」の受賞馬を発表した。
栄えある年度代表馬に選出されたのは、昨年の天皇賞・秋(G1)と有馬記念(G1)を優勝したイクイノックス。実績的には天皇賞・春(G1)と宝塚記念(G1)を制したタイトルホルダーも有力候補の1頭だったが、282対6と思わぬ大差がついた。イクイノックスが有馬記念で直接対決を制したことも大きかったのだろう。
その他も最優秀2歳牡馬にドルチェモア、最優秀2歳牝馬にリバティアイランド、最優秀3歳牡馬にイクイノックス、最優秀3歳牝馬にスターズオンアースが選ばれ、年度代表馬争いで敗れたタイトルホルダーも最優秀4歳以上牡馬に選出。ここまでは288票すべてがいずれかの馬に投票されている。
その一方で最優秀4歳以上牝馬、最優秀短距離馬、最優秀ダートホース、最優秀障害馬部門に関しては、投票権を持つ記者の見識を問われる結果だったともいえる。
「該当馬なし」に拭えぬ違和感…
というのも、上記の各部門においては「該当馬なし」と投票されたものが、あったからである。またJRAが公開した記者投票の詳細でも投票内容を「非公開」としている記者もおり、「該当馬なし」とした理由についてもファンは分からない状態となっているのだ。
勿論、投票権を持つ記者自身の意思が優先されるべきであり、どの馬を選ぶかは各記者の考えに委ねられることは確かだが、どの馬にも該当しないという選択肢が用意されていることには少々違和感を覚えた。
宝塚記念や有馬記念であれば、ファンが直接投票することが可能だが、JRA賞は投票権を持つ記者によって決まる。考え方や受け取り方に違いはあるかもしれないが、投票についてはある程度ファンの声を代弁したものであり、できることなら共感を得られる馬が選ばれるべきと考えるファンは少なくないはずだ。
にもかかわらず、どの馬を選ぶこともなく「該当馬なし」というのでは、ネットの掲示板やSNSで「どうして入れていないんだ」という声が出てもやむを得ないだろう。
中でも特に目立ったのは最優秀障害馬部門だ。こちらについては138票のオジュウチョウサンと137票のニシノデイジーが1票差の大接戦ながら、残りはホッコーメヴィウス5票と該当馬なし8票という内訳だった。前者の意思は優先されてもいいが、後者の8票はさすがに疑問が残る。なぜなら彼らが投票することで結果にも影響した可能性が高いからだ。
これは筆者個人の考えではあるが、記者投票イコール競馬ファン代表としての意味が少なからず含まれるなら、「該当馬なし」という選択は避けて欲しかった想いはある。勿論、個人の意思やポリシーは優先されるべきとはいえ、世論を軽視してまで“我を通す”やり方には賛同しづらい。
少し前にも実績的に申し分なかったはずのアーモンドアイが、JRA顕彰馬に落選したことに対し、選出基準を疑問視するファンの声がSNSのトレンドに上がるケースもあった。投票権を持つ記者の方々には、改めて自分がファンを代表して投票しているという側面にも配慮して欲しいと感じたのは私だけだろうか。
PICK UP
Ranking
23:30更新- 【阪神JF】リバティアイランド、アスコリピチェーノ、ソダシを超える逸材!? 2歳女王決定戦で買うべき“大物馬主”推奨の2頭
- 【香港C(G1)展望】絶対王者ロマンチックウォリアーVS逆襲の女王リバティアイランド! ダービー馬タスティエーラ完全復活なるか
- 【阪神JF(G1)展望】L.デットーリ×米国2歳女王メイデイレディが日本襲来! フォーエバーヤング妹など日本の女王候補が迎撃
- 武豊「来年が楽しみ」ヤマニンウルス不在でも大健闘…フォーエバーヤング擁する世代レベルの高さも証明
- ミホノブルボンvsライスシャワー連想させた「100分の1」の攻防!同一馬によるワンツースリーは平地競走史上初
- 【香港マイル(G1)展望】3歳マイル王ジャンタルマンタルが待望の戦線復帰! 悲願達成のソウルラッシュと世界制覇に挑む
- 武豊「非常識な最高速」でチェルヴィニア置き去り…他馬を凌駕する切れにC.ルメール「ドウデュースと同じ走りは出来ない」
- JRA福永祐一ケイティブレイブ「西日で負けた」はサービス精神!?「面白いんじゃないかと……」ネットを炎上させた”言い訳”の真意
- ジャパンCでも天皇賞・秋でも下馬評覆す4歳馬の好走…「最弱世代」の汚名返上着々、出遅れて逃げてもダービー馬に先着の逸材が待望の復帰
- ハーツクライ産駒でも走りはディープインパクト?有馬記念に潜むファンの夢と希望とロマンと甘い罠