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「騎手多過ぎ問題」に拍車をかけるJRAの判断!? ファンの楽しみ増えるも20連敗…生存競争の激化に若手中堅は青色吐息?

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 6名がデビューした今年の新人騎手。既に田口貫太騎手や小林美駒騎手らが、馬券に絡む健闘を見せており、初勝利も時間の問題と見られていた中、同期で最初に勝利を挙げたのは小林勝太騎手(20歳、美浦・小野次郎厩舎)だった。

 二桁人気の騎乗が多かったものの、日曜中山の最終レースを9番人気アメトリーチェで勝利。積極果敢な逃げが功を奏した好騎乗が実を結んだ。今年の新人は、昨年の今村聖奈騎手や角田大河騎手のような目立った存在はいないとはいえ、3月にデビューしたばかりで、まだまだこれから。ゆくゆくは重賞やG1の大舞台で活躍するホープが登場するかもしれない。

 その一方で、3月から調教師へと転身した福永祐一調教師も、46歳は早過ぎるという声が出たくらいであり、現役最年長の柴田善臣騎手をはじめ、55歳の横山典弘騎手に53歳のレジェンド武豊騎手とベテラン騎手も元気で、現役騎手の高齢化も進んでいる。

 こうしたベテランの活躍は非常に素晴らしいことだが、上が健在であればあるほど騎乗機会を得られない中堅や若手の騎乗馬確保は困難になりつつある。

 ただでさえ、短期免許で来日する外国人騎手の活躍が目立っていることを考えれば、実力があってもチャンスに恵まれない若手にとっては歓迎できない状況。横山武史騎手や坂井瑠星騎手らのブレイクもあったが、当時はコロナ禍の状況で“外敵”の来襲から守られていたことも大きい。

「騎手多過ぎ問題」に拍車をかけるJRAの判断!?

 これに加えて、この「騎手多過ぎ問題」を懸念する関係者からも声も出ている中、新たな強敵も参戦することになったのだから、少なからず影響も出てきそうだ。

 それは、2月17日にJRAから発表された「交流競走における騎手の騎乗」についての知らせだ。内容は以下の通り。

 3月1日以降、中央競馬で当日免許を有する地方所属騎手について、全ての競走(若手騎手競走および障害競走を除く)への騎乗を許可し、地方競馬で当日免許を有する中央所属騎手について、全ての競走への騎乗を許可するというものだ。

 3月からのルール改正をなぜ2週目が終了したタイミングで話しているかというと、事実上のスタートが先週末からだったためである。早速適用されたのは、土曜阪神で騎乗した園田の吉村智洋騎手と日曜中京で騎乗した船橋の森泰斗騎手と本田正重騎手の3名。それぞれ8鞍、9鞍、3鞍に騎乗して全敗。人気薄の騎乗が多かったこともあって計20連敗に終わったが、これに押し出される形で騎乗馬のいなかった騎手もいたことだろう。

 結果的に未勝利だったとはいえ、彼らは地方で実績も経験もある騎手。中央で伸び悩んでいる騎手より一日の長があったことも確かだ。今回は地方所属馬が出走する延長線上での騎乗機会となったが、場合によっては重賞の騎乗を目的とした逆のケースがでてくるかもしれない。

 生き残りを懸けた生存競争の渦中にいる騎手たちにとって今回のルール改正は、騎乗馬確保の青色吐息に拍車が掛かることになりそうだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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