
「全通り」購入でも儲かった高松宮記念、「迷いなくあの位置」で会心の一撃…遅咲きの穴男は春のG1シーズンでも要警戒
先週末はドバイで日本馬が大活躍だった。ドバイシーマクラシック(G1)でイクイノックスが大楽勝を決めると、目玉のドバイワールドC(G1)はウシュバテソーロが世界の強豪相手に大金星をゲット。2011年にヴィクトワールピサが制して以来となる日本馬による優勝で大いに盛り上がった。
ドバイの興奮が冷めやらぬ中、日曜には中京競馬場で春のスプリント王決定戦、高松宮記念(G1)が開催。雨中の混戦を制したのは、12番人気の大穴ファストフォースと団野大成騎手のコンビだ。人馬ともにG1初勝利の栄誉を手に入れた。
2着に2番人気ナムラクレア、3着に13番人気トゥラヴェスーラが入った3連単の払戻はなんと66万8280円。ちなみにフルゲート18頭立てのレースで3連単を全通り購入した場合、点数4896点で48万9600円となるのだが、66万超の払戻ならプラスになる計算である。約278万円の大波乱に終わった昨年と同じく、予想しない方がよかったレースだったのかもしれない。
レース前の下馬評でも、どの馬が勝っても不思議ではないと噂された大混戦ながら、上位に食い込んだ騎手の判断も結果に大きく反映されたといっていいだろう。勿論、優勝した団野騎手、2着の浜中俊騎手の騎乗は素晴らしかったが、中でもひと際目を引いたのは3着に食い込んだトゥラヴェスーラと丹内祐次騎手のコンビだ。
「迷いなくあの位置」で会心の一撃
高松宮記念の舞台は、昨年も一昨年も4着と相性は悪くなかった。いずれも鮫島克駿騎手が騎乗しての惜敗だったが、今年は同騎手がトウシンマカオに騎乗したため、丹内騎手に出番が回ってきた。見せ場十分だった激走の裏には鞍上の好判断が光る。
「枠を見て、迷いなくあの位置から進めました。よく走ってくれたし、年齢も関係なかったです」
レースをそう振り返った丹内騎手の言葉通り、1枠1番の最内からスタートしたトゥラヴェスーラは、道中で徹頭徹尾のインベタを選択。進路取りに悩む他馬を尻目に無我夢中でゴールを目指した。
カメラは先頭を走るファストフォースを映し、画面外に消えてもなお、先頭争いを繰り広げ続けたトゥラヴェスーラの姿は、ゴール前でしっかりと映し出されていた。JRAのホームページで公開されている全周パトロールの映像をチェックしてみると、1頭だけ離れてラチ沿いを駆けるトゥラヴェスーラの姿を確認できる。
この激走には、鞍上の好判断と好騎乗があってこそなのだが、高松宮記念当日の中京競馬場の状況を振り返ると勇気のいる決断だったといえる。
昨年は途中で雨が止んだこともあり、内側から乾く関係で外の馬が伸びにくい馬場状態だった。これに対し、今年の場合は雨が止むことなく降り続けたため、内よりも外が伸びるケースも散見されていた。それでも判断がブレることなく初志貫徹したことは、丹内騎手の肝っ玉の強さに他ならないはずだ。
今年でデビュー20年目を迎えた丹内騎手だが、このところの活躍は顕著だ。関東の中堅というイメージが強いものの、年間勝利数は12勝(2018年)→27勝(19年)→29勝(20年)→38勝(21年)→64勝(22年)とうなぎ上り。人気薄に騎乗した重賞で穴を開けることも多く、穴党から絶大な支持を集めつつある。
この勢いが本物なら、2度目3度目の穴馬券演出もあるだろう。これから続く春のG1シーズンでも警戒すべき人物になりそうだ。
PICK UP
Ranking
5:30更新「面白いこと教えてやるよ」横山典弘、打倒ソールオリエンスに手応えアリアリ!? 馬券に絡んだのはすべて内枠。「父兄参観」と揶揄された2年前とは一変
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
田辺裕信「2歳新馬」お断り!? 未だ騎乗ゼロに隠された真意
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 武豊命名「5爺」に激震走るナンバー3の卒業…有馬記念でメジロマックイーンを撃破、迫られる「欠員補充」の最有力候補とは
- 武豊騎手「パドック意味なし」発言に仰天……馬券購入セオリー「完全否定」のトップ騎手たちが語るパドック必勝法とは
- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- C.スミヨン騎手「サンデーが拒否」原因はC.ルメール騎手? ドバイターフ(G1)リアルスティール「鞍上ドタバタ劇」の裏事情
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……