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混戦を力で制したシスタートウショウ、発走前から結果まで波乱続いた91年の桜花賞

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 9日、阪神競馬場にてクラシック開幕戦、桜花賞(G1)が開催される。

 今年は戦前からリバティアイランドで断然のムードが漂っており、もはや相手探しのような雰囲気になっている。これは近年でもあまり例のない状況で、遡ると17年の桜花賞でソウルスターリングが単勝1.4倍の圧倒的1番人気に推され、2番人気が離れた5倍台になって以来になる。

 17年は伏兵扱いだった8番人気のレーヌミノルが勝利し、ソウルスターリングは3着に敗れているが、果たして今年はどのような結末が待ち受けているだろうか。

 今回は今年とは真逆の状況にあった32年前の1991年の桜花賞を勝ったシスタートウショウを紹介してみたい。

 この年の牡馬クラシックは3歳(現2歳)時にG1を勝ったイブキマイカグラが弥生賞(G2)を勝利していたものの、4戦4勝のトウカイテイオーが中心視されていた。一方、牝馬クラシックは混戦模様だった。

 まず、桜花賞時点ではG1勝ち馬がいなかった(現在の阪神JFが阪神3歳Sとして混合戦で行われていたため)。だが、デイリー杯3歳S(G2)とペガサスS(現アーリントンC・G3)と混合重賞を連勝していたノーザンドライバー、札幌3歳S(G3)とクイーンC(G3)を勝ち、桜花賞指定オープンのチューリップ賞(現G2)を2着していたスカーレットブーケ、ラジオたんぱ杯3歳牝馬S(G3)、オープンのエルフィンS、報知杯4歳牝馬特別(G2)をいずれも逃げ切りで完勝し5戦5勝のイソノルーブルと複数の重賞を勝っていた馬が有力視されていた。

 そして、新馬と条件特別を連勝し、チューリップ賞でスカーレットブーケを2馬身半差つけて破り、重賞勝ちこそなかったが3戦3勝で桜花賞を迎えたシスタートウショウと合わせて「4強」の争いと目された。この他にもシンザン記念(G3)を勝っていたミルフォードスルーなど、力のある馬が揃って迎えた桜花賞となった。

 当日、単勝2.8倍の1番人気に推されたのはトライアルを楽勝して5戦5勝のイソノルーブル。混合重賞2勝のノーザンドライバーが4.4倍の2番人気、前走チューリップ賞を敗れてはいたが、ノーザンドライバーを重賞で完封したスカーレットブーケが4.8倍の3番人気となっていた。シスタートウショウは重賞勝ちがないことが嫌われてか、5.3倍の4番人気に甘んじていたものの、4強がほぼ差のない人気を集めていた。

発走前から結果まで波乱続いた91年の桜花賞

 この年は阪神競馬場の改修工事の関係で京都1600mに舞台が替わり、稍重馬場で迎えたレース。ところが本馬場入場から発走地点に向かう間にイソノルーブルの落鉄が判明。装蹄師が再び装着させようとしたものの、馬が暴れてしまいそれが叶わなかった。厩舎サイドは厩舎に戻っての装蹄を要求したが却下され、発走時間が過ぎる中、結局再装蹄されることなく、右前脚は裸足のままで出走することになった。

 こんなトラブルがあり、波乱の幕開けとなったがレースは全馬並んだきれいなスタート。松永幹夫騎手(現調教師)が騎乗するイソノルーブルが押してハナを主張するが、内にいたトーワディステニーと競り合いになり、2番手に下げて追走する。

 シスタートウショウは外目の中団より前につけて前をうかがう。前にはノーザンドライバー、後ろにスカーレットブーケが並ぶ形。シスタートウショウは4コーナーで先頭に並びかけると、そのまま直線で先頭に立つ。ノーザンドライバーが競り負けて後退すると、後ろでタイミングを図っていたヤマノカサブランカが交わして突っ込んで来たが、シスタートウショウは並ばれることなく2馬身差をつけて完勝した。

 4番人気のシスタートウショウと13番人気のヤマノカサブランカの組み合わせで枠連万馬券という波乱の結果に終わった。

 イソノルーブルの落鉄については場内で告知されていたものの、結果的に装蹄しないままで発走したことは告知されなかったことで、後に物議を醸すこととなる。

 一方、勝ったシスタートウショウは角田晃一騎手(現調教師)に初のG1勝利をプレゼントしただけでなく、オーナーブリーダーのトウショウ牧場にも父トウショウボーイ以来のクラシック勝利を持ち帰った。また、このレースは稍重馬場ながら、1分33秒8の勝ちタイムは従来のレコードを1秒縮めるレースレコードとなった。

 大混戦だった桜花賞を制して、シスタートウショウは世代牝馬のトップと目されることとなりオークス(G1)を迎えるが、ここで再度のドラマがあるのはまた別の話だ。

 大混戦だった上に、レース前に一波乱あり、レース自体も大波乱の結果に終わっているが、こんな桜花賞だっただけに深く記憶に残っており、続くオークスでは感動すら覚えた。そんな91年牝馬クラシックの幕開けだった。

GJ 編集部

GJ 編集部

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