
横山典弘の「逆ポツン」と川田将雅の「暴走」…“無謀承知”のハイペース逃げで分かれた明暗

16日、中京競馬場で行われた3R・3歳未勝利(芝1400m)は、12番人気の伏兵シランケド(牝3歳、栗東・牧浦充徳厩舎)が優勝。昨年10月のデビュー戦以来となる実戦で、貴重な初勝利を挙げた。
久々のレースだったシランケドは、スタートで大きく出遅れ。後方からの競馬を強いられた。行き脚もつかず、3コーナーを後方2番手で通過すると、4コーナーでもまだ後方3番手という厳しい位置取り。
しかし、鞍上の国分恭介騎手が直線で大外に持ち出すと、強烈な末脚を繰り出して、最後は2番手から粘り込みを図ったユハンヌスを3/4馬身差捉えてゴールしている。
レース後、鞍上の国分恭騎手が「今日はうまくいきました」と振り返った通り、単勝万馬券(1万3200円)をもたらした絵に描いたような大外一気。結果的に豪快な“決まり手”を呼び込んでしまったのが、1番人気に支持されたコスモグングニール(牡3歳、栗東・長谷川浩大厩舎)が作り出したハイペースだった。
「コスモグングニールは7か月ぶりの休み明けでしたが、過去2戦は川田将雅騎手が手綱を取り、同じ1400m戦で連続2着。それが評価されて、30%近い支持率を集めての単勝1番人気でした。
ブリンカーを着用しはじめてからは逃げて結果を残しており、最内1番の絶好枠を引き当てた今回も逃げ切りを期待したファンは多かったと思います。
しかし、スタートで出負け。すると最内1番が逆に仇となって馬群に飲まれそうになったところ、川田騎手が手綱をやや強引に押して先頭に。刻んだラップを見ると、少し暴走気味の逃げだったと言わざるを得ません。その結果4コーナーの手前で早くも失速……結局、最下位の18着に敗れてしまいました」(競馬誌ライター)
川田騎手とコスモグングニールが刻んだラップはテンから順に12秒2-10秒6-10秒8(前半3ハロン33秒6)というもの。2ハロン目の10秒台は想定内といえるが、3ハロン目も10秒台というのは、いくら1400mとはいえ未勝利戦ではあまり見かけない数字だ。
ちなみに、この日の10Rに行われた同じ芝1400mの中京スポニチ賞(2勝クラス)は、前半3ハロンが12秒4-10秒9-11秒4(前半3ハロン34秒7)というラップ。同じ良馬場で開催された2勝クラスより1秒1も速いペースだったことになる。

そんなコスモグングニールとは対照的に、この日の中京ではまんまと大逃げを決めた馬もいた。中京9Rの長久手特別(2勝クラス、芝2000m)を勝利した横山典弘騎手とサンライズロナウド(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)のコンビである。
ワンターンの1400m戦に対して、こちらはコーナーを4回まわる2000m戦。条件は異なるが、前後半3ハロンが34秒3-37秒7という前傾ラップからも、かなりのハイペースだったことが分かる。
逃げ切ったサンライズロナウドと3Rのコスモグングニールが大きく違ったのは、前者は道中でほぼ単騎逃げの形に持ち込めたことだろう。序盤こそ2番手にいた河原田菜々騎手のプリマヴィータにプレッシャーをかけられるシーンがあったが、横山典騎手は並ばせまいとペースを上げて引き離していった。
結局、横山典騎手は3ハロン目から7ハロン目まで全て11秒台を刻むと、ラスト3ハロンは12秒1-12秒6-13秒0という減速ラップ。最後は“バタバタ”になりながらも、先頭でゴールを駆け抜けることができた。
「いわゆる横山典騎手の“逆ポツン”が成功しましたね。3Rとは条件も違うレースなので、一概に比較はできませんが、やはり同じハイペースで逃げるにしても、いかに後続のプレッシャーを交わせるかが重要か教えられた気分です。
川田騎手のコスモグングニールの敗因はもちろんペースだけでなく、もしかすると状態面も良くなかったのかもしれません。実績からも最下位に沈むような馬ではないですからね。ただ川田騎手としては、9Rの横山典騎手の大逃げは大いに参考になる部分もあったはずです」(同)
“逆ポツン”と評される横山典騎手の大逃げ。川田騎手は大ベテランの極意から何か学ぶことはあっただろうか。
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