
クイーンS(G3)武豊がライトクオンタムと挑む「余業」、大舞台を前に乗り越えたい“因縁”の一戦

先週末からJRAの北海道開催は舞台が函館から札幌に移った。先週の2日間は重賞が行われなかったが、30日は牝馬限定の重賞・クイーンS(G3)が行われる。
秋に控えるエリザベス女王杯(G1)を見据える古馬の強豪だけでなく、秋華賞(G1)を目指す3歳の有力馬たちも参戦を表明する中、今回ひと際注目を浴びているのは、武豊騎手が騎乗を予定しているディープインパクト産駒のライトクオンタム(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。
本馬はJRAで6頭しか登録がないディープインパクト産駒ラストクロップとしてデビュー前から熱視線を送られた期待馬。昨年11月に新馬戦を勝ち上がると、勢いのままに今年1月のシンザン記念(G3)も制覇。ディープインパクト産駒としてデビューから13世代連続、14年連続のJRA重賞制覇を達成してみせた。
この夏は欧州でもディープインパクト産駒のオーギュストロダンがイギリスダービー(G1)とアイルランドダービー(G1)を連勝し、父に「全13世代G1制覇」という新たな勲章も加わった。それだけに、国内でもG1を制するような“最後の大物”の登場が待たれるところだ。
その最有力候補と言えるライトクオンタムだが、シンザン記念を制した後は桜花賞(G1)で8着に敗れ、オークス(G1)も17着と大敗。休みを挟んでの立て直し、秋の大舞台に向けた再始動となる。
桜花賞以来のコンビを組む武豊騎手といえば、言わずと知れたディープインパクトの主戦騎手であるが、その産駒での重賞勝ちはライトクオンタムとともに制した今年のシンザン記念が久々の勝利であった。
また、ディープインパクト産駒ではJRAのG1を3勝しているものの、2013年の日本ダービー(G1)を制したキズナにはじまり、同年秋のマイルCS(G1)を制したトーセンラー、そして2019年の菊花賞(G1)を制したワールドプレミアと、いずれも牡馬の産駒で挙げた勝利だった。
ところが、牝馬の産駒では【0-1-1-20/22】で未だに勝利がない。ここから産駒は減少する一方なだけに、ライトクオンタムはその“やり残し”を解消するうえでの最後の希望と言っても過言ではないだろう。
大舞台を前に乗り越えたい“因縁”の一戦
まずはその最初のチャンスとなる秋華賞に照準を合わせるべく、今回の再始動戦は負けられない一戦となる。しかし、そこでこの武兄弟に立ちはだかるのが、クイーンSとの“因縁”だ。
ちょうど1年前のこのレース、武豊騎手は同じ武幸四郎厩舎の管理馬であるウォーターナビレラと挑んだのだが、単勝2.2倍の1番人気を裏切る10着と惨敗を喫した。
百戦錬磨のレジェンドも「馬の感じは良かった。レースも思った通りの競馬ができました」と振り返りながら、この結果には「思い当たるところがないです」と首を傾げ、師も「明確な敗因は分からない」と語る消化不良の一戦となった。
ウォーターナビレラといえば2歳時に阪神ジュベナイルF(G1)でも3着に食い込み、桜花賞ではスターズオンアースとタイム差なしの2着と健闘を見せた実力馬である。それがクイーンSでショッキングな敗北を喫して以降は秋華賞でも12着に終わり、その後は短距離路線に矛先を替えるも、連敗のトンネルを脱出することができずにいる。
兄弟揃って嫌な記憶の残るクイーンSだけに、秋の大舞台を前にまずは真夏の札幌で1年前のリベンジを果たしておきたいところ。ライトクオンタムと武豊騎手、そして武幸四郎調教師にとってはまさに試金石の一戦となりそうだ。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 巷に出回る川田将雅「長距離苦手説」をデータで検証、阪神大賞典(G2)で気になる「13年未勝利」の課題…リーディングジョッキーの意外な過去
- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……
- JRA二ノ宮敬宇調教師引退は「体調」の問題か……残した海外伝説と「最後の末脚」
- 横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!