武豊「あとはクジ運だけ…」もガックリ!? 優勝争いは川田将雅、C.ルメール、J.モレイラら4強か【2023WASJ考察】
いよいよ今週末、札幌を舞台にワールドオールスタージョッキーズが開催される。普段お馴染みのJRAのトップジョッキーたちと、海外・地方から集まった名手との競演は、いつもと違った競馬を楽しむ貴重な機会だ。
見事、ジョッキーの祭典を制して優勝賞金300万円を手にするのは、どの騎手か。抽選で決まった騎乗馬をチェックしながら、今年のWASJ優勝騎手を占いたい。
■8月26日(土)札幌10R
2023ワールドオールスタージョッキーズ第1戦(2勝クラス、芝1200m)
ポイントを稼ぎたいA評価を引いた3人の中で、最も期待できそうなのがスマートルシーダに騎乗する坂井瑠星騎手だ。
近走は7着→3着→11着→2着と不安定な戦績になっているが、何と言っても同条件で行われた昨年のWASJ第1戦の2着が光る。当時は岡部誠騎手が上手く差し脚を使ったが、前走はハナに立っての2着と自在性のある馬。坂井騎手はここで1着を狙っていきたい。
同じくA評価のアンビバレントは不良馬場で1勝クラスを勝ったものの、良馬場の葵S(G3)で17着に大敗。前走は逃げて3着だったが、重馬場だった。この日の札幌は晴予報。良馬場でどうか。戸崎圭太騎手のテーオースパローも有力候補だが、このトップジョッキーたちの競演は毎年タイトなレースになることが多く、1枠1番をどう捌くかが課題になりそうだ。
一方、B評価でドーバーホークを引いたR.キング騎手には大きなチャンス。相棒は現在2連勝中と勢いに乗っており、レースぶりも安定。大外枠と斤量増を克服できれば、大きくポイントを稼ぐことができそうだ。
逆転候補で面白いのが、メイショウフンケイ(横山武史騎手)、ユウグロスファクタ(J.モレイラ騎手)、サンダビューク(川田将雅騎手)の3頭。近走ダートで結果を残しているために評価が低いが、芝をこなせるなら一発を狙える。玉砕覚悟で乗れるC、D評価の馬としては魅力的な存在といえるだろう。
■8月26日(土)札幌11R
2023ワールドオールスタージョッキーズ第2戦(3勝クラス、芝2000m)
4頭いるA評価でも筆頭はエスコバルに騎乗する川田騎手だろう。前走のSTV賞(3勝クラス)は7着と1番人気を裏切ってしまったが、最後の直線で前が壁になる不利があった。今回も1枠1番と難しい枠に入ったが、昨年のリーディングジョッキーがどう捌くのかにも注目だ。
前走を逃げ勝ったエーデルブルーメの横山武騎手は、前から安定した力を発揮できそうな点が魅力。ここは上位争いをしておきたい。クライミングリリーはここ4戦で2着2回と、道中で早めに動いて結果を残している馬。A.バデル騎手の積極性が問われるところだ。
一方、貧乏くじを引いた感のあるのがマイネルクリソーラの武豊騎手。前走STV賞は5着だったが、2着クライミングリリーとは0.5秒差もある。また同4着のプラチナトレジャーはB評価。戦前には公式HPで「あとはクジ運だけ」と意気込みを語っていた武豊騎手だが、これでA評価は少々辛いところだ。
また、セイウンプラチナはC評価ながら連勝中と勢いに乗る。ミッキーアイル産駒だけに200mの距離延長がどうかだが、スムーズに逃げられるならU.リスポリ騎手にチャンスが巡ってきそうだ。
D評価で美味しいのが坂井騎手か。騎乗するランスオブアースは前走14着だが、ダートだ。牝馬限定戦ながらシドニーT(3勝クラス)4着、マーメイドS(G3)8着の芝なら低評価を覆しての好走が期待できる。
■8月27日(日)札幌10R
2023ワールドオールスタージョッキーズ第3戦(2勝クラス、ダート1700m)
抜けた馬はいないが、前走3着以内の馬が4頭に対して、他はすべて前走7着以下という上下が極端に分かれたメンバー構成になった。必然的にA評価4頭に騎乗する岩田望来騎手(イーサンバーニング)、M.ヴェロン騎手(ナチュラルハイ)、リスポリ騎手(バライロノキセキ)、キング騎手(フォーワンセルフ)らは稼ぎ時だ。
明暗が分かれたのはB評価に騎乗する坂井騎手、戸崎騎手、宮川実騎手の3名か。宮川騎手のネイリッカは、4頭しかいない前走3着以内の馬の1頭。坂井騎手のオクトニオンも7着ながら勝ち馬とは0.3秒差に健闘している。一方、戸崎騎手のキョウワウォールは同じ7着ながら勝ち馬とは1.1秒差。それ以前も1.2秒差、0.7秒差、1.8秒差と惨敗を繰り返しており、これでB評価は少々厳しい。
一方、騎手で注目したいのが武豊騎手だ。騎乗するニャンチンノンは前走・芝ながら12着のC評価だが、鞍上は舞台となるダート1700mで今年10勝と荒稼ぎ。今夏の札幌でもエルムS(G3)勝利の他、合計5勝で勝率38.5%、3着以内率は53.8%と好成績を誇っている。
■8月27日(日)札幌12R
2023ワールドオールスタージョッキーズ第4戦(2勝クラス、芝1800m)
雌雄を決する最終戦で一歩リードするのは、A評価ウインシュクランに騎乗するC.ルメール騎手か。前走は逃げて勝ち馬と0.1秒差の2着。安定したスタートダッシュと先行力が魅力だけに、上位争いに最も近い存在といえるだろう。ただし、不気味なのはB評価マイネルダグラスに騎乗する武豊騎手の存在。こちらも前走は逃げて2着と好内容だっただけに、できればハナを切りたい馬。ルメール騎手としてはハイペースだけは避けたいところだ。
L.モリス騎手のショウナンアデイブはこのクラスで力上位の存在だが、200mの距離延長がカギ。もう1頭のA評価トゥードジボンは前走こそ7着だったが、長期休み明けだった前々走では2着。叩き3走目は如何にも走り頃だ。モレイラ騎手は、ここで勝っておきたい。
これらを追うのが、B評価キングロコマイカイに騎乗の川田騎手か。前走1勝クラスを勝ち上がったばかりだが、舞台は今回と同じ札幌・芝1800m。昇級戦になるが大崩れはなさそうだ。
安定感ではメタルスパークも屈指の存在だ。ただし、安定感は本来の走りをしてこそ。横山武騎手のポイント状況によっては、いつもより勝ちに行く競馬になる可能性もあり、馬券を買う際は、他馬も含めてジョッキーのポイント状況もチェックしておきたいところだ。
以上を踏まえると、優勝争いは川田騎手、坂井騎手、ルメール騎手、モレイラ騎手あたりが有力か。札幌でも走り慣れたジョッキーだけに着実にポイントを稼いできそうだ。他にも横山武騎手は毎年札幌で好成績を残すジョッキー、初参戦ではキング騎手が台風の目になるかもしれない。一方で、武豊騎手、戸崎騎手あたりはややくじ運に恵まれなかった感もある。
無論、これらはあくまで下馬評であり、WASJに名を連ねるトップジョッキーたちなら、多少不利な状況でも跳ね返せるだけの腕を持っている。いつ、どこで、誰が「神騎乗」を披露してもおかしくないのが、この騎手の祭典の大きな魅力の1つだ。ファンをアッと驚かせるような好騎乗の競演を期待したい。
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