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【引退馬に会いに行く】凱旋門賞2着馬ナカヤマフェスタ、砂の老兵ワンダーアキュートなど、往年の名馬に会える街

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 タラップを降りると、ひんやりとした空気が肌を包む。北海道の外気は、関東の煩わしい残暑を忘れさせてくれる。新千歳に降りるたびに身体で感じる、サラブレッドたちをはぐくむ涼やかな世界の息吹。

 新千歳空港から車でわずか1時間半。日高郡の新ひだか町は、ご存知のように国内有数の馬産地の一つだ。市街には、競馬をモチーフにした老舗宿「静内エクリプスホテル」、テスコボーイの像を囲むように名馬の石碑が集う「桜舞馬公園」など、競馬ファンにはたまらないスポットが点在する。

 そして、その市中心部を抱くように郊外には見渡すかぎりの放牧地が広がり、豊かな緑をはむ馬を眺めることができる。

 多くのサラブレッドを産み育て、日本競馬史を綿々と支えてきた競走馬のふるさとは、その懐で多くの引退馬のセカンドキャリアも見守っている。新ひだか町では、様々な往年のスターホースたちに会うことができ、静内田原の「アロースタッド」もそのような場を提供している牧場の一つだ。例えばジャンダルム、モズアスコット、カリフォルニアクロームなど、ここで種牡馬として第二の生を送る様々な名馬を見学できる。

 凱旋門賞で2着・世界に最も近付いた名馬ナカヤマフェスタ、国内最高齢でG1勝利を挙げたダートの老兵ワンダーアキュートも、長らくアロースタッドで肩を並べて種牡馬生活を送っていた。

 2頭はともに2006年生まれ。それぞれ紆余曲折の競技生活を経て、ここで再びまみえた旧友なのである。放牧中は並んで草をはむこともあるといい、さながら同窓会で再会を果たし、枝豆をつまむ親父たちのようである。

「お疲れさま」と言いたくなるような、威厳と哀愁が相見える面影がそこにあった。

 競馬は唯一の国営ギャンブルであり、その事業収益は年間3兆円を超える。そのうち3000億円超が毎年国庫に納められ、我々の生活の糧となる。横浜と名古屋をつなぐ第二東海自動車道の施工費は約3500億円だったと言われ、このような超大型インフラを一本賄うかというほどの貢献となる。

 豊かな福祉のもと、人々が当たり前に暮らす日々は、実は競走馬の血と汗に守られているのだ。それはまことに、家族の何気ない日常を守るために働き続ける大黒柱の姿なのである。

 さて、しばらく寝屋を同じくしたナカヤマフェスタとワンダーアキュートであるが、フェスタが9月25日をもって、隣町・浦河の「うらかわ優駿ビレッジAERU」へと移転した。 

 新ひだか町に並ぶ馬産地・浦河町に営む「AERU」は、スズカフェニックス、オウケンブルースリ、マイネルキッツなど、往年の名馬を複数擁する養老牧場だ。また、パークゴルフ・カヌー・乗馬などのアウトドア、雄大な日高山脈を望む大浴場、近海で水上げされる海の幸を楽しむこともできる複合観光施設でもある。

 宿泊プランは1名1万円前後と手頃な価格帯であり、全国から数多くの競馬ファンが訪れ、豊かな食や自然を楽しみながら、名馬を間近で眺めては思い出話に花を咲かせている。

 ついに種牡馬も引退し、このAERUで功労馬として本格的な隠居生活を送ることとなるナカヤマフェスタ。ロンシャンで激闘を繰り広げた英雄は、のどかな大自然の中で私たちを出迎えてくれることだろう。同級であるワンダーアキュートは「俺もすぐそっちに行くよ」と言うだろうか、それとも「俺はまだまだやってやる」と言うだろうか……。

 人の数だけ人生があるように、馬の数だけ物語がある。夢にあと一歩届かなかった者もいるだろう、歳を重ねてもしぶとく走り続ける者もいるだろう。様々な名馬の面差しの中に、あなたの人生もあるかもしれない。

 秋暑の続くこの頃、往年の名馬たちを訪ねに、サラブレッドの故郷・北海道を訪れてみてはいかがだろうか。

さかた

さかた

英国在住の競馬好きアラサー女医。学生時代はWINS場内スタッフのアルバイトをしながら、ウオダス世代の火花散るレースに脳を焼かれた。好きな競馬場メシは「梅屋」のモツ煮込み。鉄火場であおるビールは人生の道標。

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