松山弘平「凄い末脚」手塚貴久師「勝った馬が強かった」…ゴンバデカーブースが塗り替えた勢力図、最強馬決定戦は意外な結末
ニューヒーローとして名乗りを上げるには十分過ぎるインパクトだった。
3日間開催となった先週末の最初に行われたサウジアラビアロイヤルC(G3)を制したのは、松山弘平騎手が騎乗したゴンバデカーブース(牡2、美浦・堀宣行厩舎)だ。
奇しくも上位3番人気までの馬が、D.レーン騎手とのコンビでデビュー勝ちを決めた共通点を持っていたのだが、ゴンバデカーブースは3番人気に推されていたとはいえ、戦前の下馬評は単勝1.4倍の圧倒的1番人気を集めたボンドガールと2.8倍のシュトラウスによる一騎打ちムードが濃厚と見られていた。
ボンドガールはデビュー戦で2着に下したチェルヴィニアが、次走の未勝利戦で2着馬に1秒差をつける大楽勝。そして3着コラソンビートや4着マスクオールウィン、6着キャットファイトも次走で勝利しており、レースレベルの高さも話題となっていた。
また、シュトラウスにしても不良馬場の新馬戦で2着馬を9馬身も置き去りにする圧巻のパフォーマンス。レースで駆使した上がり3ハロンのタイム34秒5。2番目に速かった2着馬の35秒8を1秒3も上回る末脚を披露していた。鞍上にもC.ルメール騎手を配して来たなら対抗1番手に期待されたのも無理はない。
しかも、ボンドガールに騎乗したのはリーディングを争うライバルの川田将雅騎手。ライバルのファンの多くは「世代最強馬候補2頭のどちらが強いのか」に興味津々だっただろう。
最強馬決定戦は意外な結末
ところがいざレースが始まると、熾烈な2着争いを繰り広げた2頭を尻目に直線を楽々と抜け出したゴンバデカーブースが2馬身差をつける完勝。ボンドガールもシュトラウスをクビ差で競り落としたものの、勝ち馬にはいい訳ができないほどの完敗を喫してしまった。
これには手綱を取った松山騎手からも「強かったと思います」「末脚は凄いものを持っています」と驚きのコメント。距離適性は未知数としながらも「レースが上手な馬」「これから先も楽しみです」といった賛辞の言葉が相次いだ。
「いやあ、度肝を抜かれるとはまさにこのことかもしれません。ゴンバデカーブースはデビュー戦を逃げて勝っていた馬ですが、特別速い上がりを使っていた訳でもなく、レースもスローペースの前残りに近かったんです。目に見えて強い勝ち方をしていた2頭と離れた3番手の評価だったのも仕方なかったでしょう。
スタートでも後手を踏んで最後方からの追走。逃げた馬がこんなに切れる脚を持っているなんて想像しにくかったはずです。それがただ1頭33秒台の鬼脚を使って突き抜けた訳ですから、敗れた馬の陣営から白旗が上がったのも無理はないですね。勢力図が一変したと思います」(競馬記者)
ボンドガールを管理する手塚貴久調教師も「後ろから行った馬に差されたわけですから、勝った馬が強かった」とお手上げ。シュトラウスのルメール騎手は「この馬は勉強しないといけません」と注文を付けたが、今日のところはどうやっても勝てなかったかもしれない。
まさにニューヒーロー誕生といえるゴンバデカーブースの圧勝劇だが、この勝利は来春のクラシックにも大きな影響を与えそうだ。
ボンドガールは距離延長に不安のあるダイワメジャー産駒で、シュトラウスも父モーリス×母ブルーメンブラットのマイラー色の強い血統。対するゴンバデカーブースは、サンデーサイレンスの再来と噂されるブリックスアンドモルタルの産駒で距離も未知数だ。このまま中距離以上もこなせるようなら天下取りも夢ではない。
ちなみに勝ちタイムの1分33秒4(良)は、昨年の勝ち馬ドルチェモアの走破時計と同じ。過去にグランアレグリアやサリオスを輩出した出世レースを楽勝しただけに、世代を引っ張る存在となる可能性もあるのではないか。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
単勝1.8倍ペリエール撃沈は「三冠馬ミックファイア誕生」のジンクス!? コントレイル、ディープインパクトら歴史的名馬誕生の裏で苦しんだライバルたち
元JRA田原成貴氏「もう二度と乗せない」ソングライン×戸崎圭太を痛烈批判! 約1時間前に「後悔コメント」も繰り返されたドン詰まり不完全燃焼
【秋華賞】ママコチャに続くのはリバティアイランドか…なぜ3歳牝馬も“関西”が強いのか?桜花賞もオークスも関西馬が上位独占でここも同様の決着か
「人気3頭に食い込めるわけがない」名物トラックマンの“酷評”に反発!? エルトンバローズが毎日王冠(G2)で3強撃破!
今秋スタートの「新・競馬バラエティ番組」に武豊も応援メッセージ! 放送終了から20余年…「あの伝説的番組」を懐かしむ声も