C.ルメール、斎藤新と対照的に岩田望来は「悔しさ」アリアリ? 絶対女王相手に最速上がり33秒5…新星マスクトディーヴァが見せた圧巻パフォーマンス

牝馬三冠を狙ったリバティアイランドが出走した秋華賞(G1)は、春のクラシック二冠でライバルを圧倒した絶対女王が予定通りの完勝。「単勝オッズ1.1倍」と「100円元返し」の複勝に証明されたように、もはや“同世代に敵はなし”を印象付ける勝利だった。
さも当然の如く手に入れた三冠牝馬の称号は、2020年のデアリングタクトに続く史上7頭目の栄誉となった。
その一方で、まったく不安要素がなかった訳でもない。
夏の休養から栗東のトレセン帰厩時には、馬体重が前走のオークス(G1)出走時から50キロ以上も激増していたことで話題となった。こちらについては12日に発表された調教後の馬体重が24キロ増の490キロ。レース当日も10キロ増で出走しており、杞憂に終わったとはいえ、翌13日に決まった枠順も3枠6番と内寄りの枠に入った。
力が抜けていることは間違いないものの、出して行くのか、それとも一度下げてから外に出すのか、何かと悩ましいレースプランを求められるラスト一冠だったはずだ。
しかし、そんなファンの懸念をまるで一笑に付すかのように、完璧なエスコートを演じたのが鞍上の川田将雅騎手である。この日が38回目の誕生日だった本人も「ジョッキー生活20年目で、競馬の神様がくれた最大のプレゼント」と喜びを噛みしめていたようだ。
レース後のコメントで「心から感動しています」と振り返った川田騎手だが、道中の進路取りはまさに「匠」の域に達したと思えるほど。「事前にレースプランは作らず」「直線に向けては進路を作ることだけ」を念頭に、一分の隙もないポジション取りだった。
リバティアイランドの強さがあってこそということには間違いないが、終わってみれば「人民の人民による人民のための政治」ならぬ、「川田将雅の川田将雅による川田将雅のための秋華賞」といったところだろうか。
「川田騎手が憎らしいほど巧かったですね。スタートを決めて好位を確保すると、パートナーを徐々に外へと誘導していき、4コーナーまでにいつでもゴーサインを出せる位置につけていました。
しかもこの日の京都は、直前まで行われた芝のレースで逃げ切り勝ちが3勝、2番手抜け出しが2勝と前残りが顕著な馬場コンディション。さらに逃げた馬が刻んだラップは、後半5ハロンが前半より2秒7も速い超スロー。最も強く、最も末脚の切れる馬が直線入り口で3番手にいた訳ですから、その時点ですでに勝負ありでしたね」(競馬記者)
ただでさえ最強の馬が、一番スムーズな競馬をしていたのだから、これで他馬の逆転を望むのは無理があると言っても過言ではない展開になったのも間違いない。
新星マスクトディーヴァが見せた圧巻パフォーマンス

だが、そんな絶対ムードに今後、警鐘を鳴らすかもしれないと感じたのは、3番人気で2着に入ったマスクトディーヴァ(牝3、栗東・辻野泰之厩舎)の存在だ。
勝利を確信できる抜け出しを決めた後ということもあり、ゴール前のリバティアイランドに余力が残っていた可能性は否定できないが、メンバー最速の上がり3ハロン33秒5で絶対女王のそれを0秒1上回ったことは特筆すべきだろう。
鞍上の岩田望来騎手も「スタートがもうひとつ」「いつも通りに出られていたら」「思ったよりも後ろの位置取り」「動きたいときに動けませんでした」とコメント。レース映像でもガックリとうなだれる姿が映し出されていただけに、悔いを残したかもしれない。
私見ではあるが、3着ハーパーに騎乗したC.ルメール騎手の「すごくいい競馬をしてくれました」、4着ドゥーラに騎乗した斎藤新騎手の「内枠でしたし最後勝ちに行く競馬をしました」「この経験は次に生きてくると思います」という“やることはやった”ニュアンスのコメントとは“温度差”があったように思う。
マスクトディーヴァの大健闘については、見る人によって「やはり力差はあった」「スムーズさを欠いたからこそ惜しく見えただけ」「乗り方によってはチャンスがあった」と判断の分かれるところだが、オークス2着ハーパー、3着ドゥーラに割って入る2着に食い込んだことは間違いない。
春からの逆転が絶望的に映った両馬に比して、マスクトディーヴァが「たら」「れば」を論じられるだけの存在感を見せたことに意味がある。2頭は3歳とまだ若く、再戦の機会にも期待が持てるのも幸い。鞍上による経験の差が出た感のある初の直接対決だったものの、次走が非常に楽しみになるパフォーマンスだった。
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