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秋華賞級の期待も「最低着順」の大誤算? 「キツい競馬」「内に入りたかった」悔い残したシンリョクカ…ノースフライトの再現遠のく敗戦

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シンリョクカ 撮影:Ruriko.I

 15日、牝馬三冠の掉尾を飾った秋華賞(G1)は、リバティアイランドが格の違いを見せて快勝。次走で視野に入れているジャパンC(G1)に出走するようなら、イクイノックスやドウデュースにどこまで通用するかも見たくなる強さだった。

 ただ、秋華賞のリバティアイランドは、1.1倍となった単勝オッズからも分かるように一強ムード。限りなく勝算の低い相手に挑むより、古馬が相手でもG2なら通用するかもしれないと考える陣営がいたのも無理はない。

 9番人気の桜花賞(G1)を6着、7番人気のオークス(G1)で5着に敗れていたシンリョクカ(牝3、美浦・竹内正洋厩舎)も、そんな1頭だろう。春のクラシックで掲示板を確保する実力を示していただけに、もし秋華賞に出走していたなら、それなりの人気を集めていたはずだ。

 出走した府中牝馬S(G2)の場合、歴戦の古馬が相手となるが、3歳牝馬ということで斤量も53キロ。昨年の阪神ジュベナイルF(G1)で12番人気ながら、絶対女王の2着に食い込んだ実力を思えば、チャンスがあると考えたファンも少なくなかった。その証拠に昨年の覇者イズジョーノキセキや重賞勝ち実績のあるライラック、プレサージュリフト、アンドヴァラナウト、エリカヴィータらに混じって3番人気に支持された。

 しかし、陣営が想像していた以上に古馬の壁は厚かったのか、鞍上の吉田豊騎手が好位からの競馬を選択したものの、最後の直線で伸びを欠き惨敗。13頭立てのレースでストーリアが競走中止で予後不良となる痛ましいアクシデントも発生したが、12頭中の10着というキャリア最低着順に終わった。

「内に入りたかった」悔い残したシンリョクカ…

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吉田豊騎手

 レースを振り返った吉田豊騎手から「キツい競馬でした。外枠でどこかで内に入りたかったです。もっと下げるか2番手につけるか、極端な競馬をすれば良かったかもしれません」と悔いを残すコメントも出たとはいえ、乗り方次第で勝てたのかとなると、そうとは言い切れない。

 その一方で、収得賞金が1700万円のシンリョクカ陣営にとっては、2着以内に食い込んで賞金を加算したい目的もあったはず。リバティアイランドには分が悪いという思惑があったとしても、“G1級”の期待を持って府中牝馬Sに送り出した可能性は高い。

 だが、賞金加算に失敗してしまったことで、陣営が選択肢に入れているかどうかは定かではないものの、おそらくリバティアイランドが不在となるエリザベス女王杯(G1)に出走するのも難しくなった。仮に府中牝馬Sを経由してエリザベス女王杯に参戦するようなら、1993年の2着馬ノースフライトと同じローテーションでもあり、シンリョクカに同じ姿を重ねるファンもいた。

 一度立て直して堅実に賞金を加算していくか、再び重賞に挑戦するか、陣営の決断に注目したい。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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