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【天皇賞・秋】11年ぶりの天覧競馬決定。日本中が震えたヘヴンリーロマンス、エイシンフラッシュの感動を振り返る

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撮影:Ruriko.I

 すでに多くの方がご存知だと思われるが、今週末に東京競馬場で行われる第168回天皇賞・秋(G1)は、令和として初であり、11年ぶりとなる「天覧競馬」が決定した。

 天覧競馬とは天皇陛下が臨場されレースを観戦されること。最後に行われたのが2012年の天皇賞・秋で、M.デムーロ騎手が下馬して天皇皇后両陛下に一礼を捧げた感動的なシーンは、今も多くの競馬ファンにとって語り継がれている。

 今年の天皇賞・秋は世界最強馬イクイノックスを筆頭に、昨年の日本ダービー(G1)馬ドウデュース、天皇賞・春(G1)優勝のジャスティンパレス、大阪杯(G1)を逃げ切ったジャックドール、札幌記念(G2)快勝のプログノーシス、さらにダノンベルーガ、ヒシイグアス、ガイアフォース、ノースブリッジ、エヒトなどの強豪が揃った。残念ながらスターズオンアースは回避となってしまったが、それでも少数精鋭が揃い歴史に残る1戦となるだろう。

 その天皇賞をさらに注目させることになった天覧競馬だが、直前の発表はやむを得ないにせよ、もし事前にわかっていれば管理馬を出走させたかった陣営は多かったはず。それほどまでに、天覧競馬に管理馬を出走させることは、競馬関係者にとって大きな栄誉なのである。

 当然のことながらそれはファンも同様で、天皇陛下と共に歴史的に残る一戦を観戦できるのは大変な栄誉であり、一生の思い出になることは間違いない。今から週末が待ちきれないという方も多いはずだ。

 そんな天覧競馬をより深く味わうために、これまで行われた天覧競馬を振り返ってみたい。

 

■明治から存在した天覧競馬

 記録によれば、これまで天覧競馬は3回以上行われている。正確な回数がない理由は、競馬に造詣が深かった明治天皇が幾度となく競馬場に来場していたためで、明治天皇最後の観戦は1899年(明治32年)といわれている。当時は天皇賞がまだなく、後に天皇賞の前身であるエンペラーズカップが創設されている。その後106年が過ぎ、【エンペラーズカップ100年記念】と副題がつけられた2005年10月30日の第132回天皇賞・秋に、天皇皇后両陛下が東京競馬場に臨場し、史上初の天皇陛下による「天覧天皇賞」が実現した。

 この第132回天皇賞にはゼンノロブロイ、ダンスインザムード、ハーツクライ、スイープトウショウ、ハットトリック、タップダンスシチー、アドマイヤグルーヴ、スズカマンボ、アサクサデンエン、テレグノシス、リンカーンといった超豪華メンバーが出走。1番人気はゼンノロブロイだったが、勝利したのはなんと14番人気のヘヴンリーロマンス。鞍上の松永幹夫元JRA騎手(現調教師)の巧みな手綱捌きにより、誰もがアッと驚く勝利を決めた。

 そしてレース後の松永騎手は、天皇皇后両陛下がご覧になられているメモリアルスタンド前でヘヴンリーロマンスを止め、ヘルメットを外して、馬上から両陛下に一礼を捧げた。その瞬間は今も多くのファンの脳裏に焼き付いているだろう。

 その7年後、2012年10月28日に【近代競馬150周年】記念事業の一環として開催された第146回天皇賞・秋に、天皇皇后両陛下が臨席し、7年ぶり2回目の「天覧天皇賞」が実現となった。

 この第146回天皇賞には1番人気フェノーメノを筆頭に、ルーラーシップ、カレンブラックヒル、ジャスタウェイ、ジャガーメイル、サダムパテック、アーネストリー、トーセンジョーダン、ダークシャドウといった実力馬が出走したが、ここでも勝利したのは5番人気と伏兵的存在であったエイシンフラッシュ。

 見事なイン強襲で勝利を手にした鞍上のM.デムーロ騎手は、天皇皇后両陛下がご覧になられているスタンドの前で下馬し、ヘルメットをとり、片膝をつき、深く一礼を捧げた。デムーロ騎手はあの行動を「騎士道精神から」とコメントしていたが、その美しい所作には誰もが目を奪われ、その一瞬はまさに騎士そのものであった。

 これらシーンは日本競馬史上でも1、2位を争う感動的な光景ではなかろうか。

 果たして今年勝利するのはどの馬か。興味深いのは、過去2度の天覧競馬は伏兵が勝利し、1番人気馬が2着に敗退しているという結末。2度あることは3度あるのか。もしそうであれば、1番人気が予想されるイクイノックスは2着に敗れ、意外な馬が勝利するかもしれない。

 そして誰もが注目するのは、勝利した騎手がどんなパフォーマンスを見せるのか。過去2回があまりにも鮮やかだったこともあり、レース後は騎手の一挙手一投足が注目されるに違いない。それはそれでジョッキーたちにとって大きなプレッシャーになりそうだ。

仙谷コウタ

仙谷コウタ

初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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