【香港C(G1)展望】春はロマンチックウォリアーに「2馬身差完敗」……コンビ「7戦6勝」川田将雅×プログノーシスに逆転の可能性は?
10日、香港のシャティン競馬場では『香港国際競走』が開催される。メイン8Rに行われるのは、芝2000mが舞台の香港C(G1)だ。
国際G2時代の1995年にフジヤマケンザン、98年にミッドナイトベットがそれぞれ勝利。国際G1に昇格した99年以降は、2001年のアグネスデジタルを皮切りに日本馬は6勝を挙げている。
G1の香港Cで日本馬として7勝目を狙う今年は、JRAから3頭がスタンバイ。中でも最右翼とみられているのがプログノーシス(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)だろう。
3歳春にはデビュー2戦目の毎日杯(G3)でシャフリヤールの3着に入るなど、早くから高い能力を見せていた同馬は、間隔を空けながら使われ、その約1年後にオープン入り。重賞初制覇はさらにその約1年後の今年3月だった。
金鯱賞(G2)に出走したプログノーシスは、3戦ぶりに川田将雅騎手とのコンビ。いつも通り、スタートで遅れたものの、4角9番手から強烈な決め手を発揮し勝利を挙げた。
続いて陣営が向かったのは今回と同じ舞台のクイーンエリザベス2世C(G1)。鞍上をZ.パートン騎手に託した一戦で3番人気に支持されると、スローペースの中、最後方から競馬を進め、直線鋭く伸びて2着に入った。ただ、勝ったロマンチックウォリアーには2馬身の差をつけられる完敗だった。
その後は夏の札幌記念(G2)で再び川田騎手を背に快勝。改めて地力の高さを見せると、続く天皇賞・秋(G1)は後方から追い込んでイクイノックスの3着に健闘した。
5歳秋を迎えたが、まだキャリア11戦と使い込まれていない分、馬もまだ若さを保っている。スタートに課題を残しているため、どうしても後方からの競馬が多くなってしまうが、ライバルのロマンチックウォリアーが好位で立ち回る馬だけに、勝ちに行くなら同馬をマークする形で運びたいところだろう。
コンビ通算7戦6勝の川田騎手が完璧にエスコートできれば、勝機は生まれる。
伸びシロという点ではローシャムパーク(牡4歳、美浦・田中博康厩舎)も負けていない。
昨年はセントライト記念(G2)で3着に入り、菊花賞(G1)の優先出走権を獲得。しかし、陣営は距離適性も考慮して同レースを回避していた。自己条件の2勝クラスから再出発した今年は、ここまで5戦4勝と快進撃を続けている。
2走前は函館記念(G3)を2馬身差で快勝。続くオールカマー(G2)は、G1・3勝馬タイトルホルダーも撃破し、騎乗したC.ルメール騎手が「一戦ごとに強くなっている」「絶対にG1レベルに行ける」と絶賛するほどだった。
もともとレース後は回復に時間がかかるタイプで、前走後も状態を見ながらの調整。国内ではなく、香港で待望のG1初出走を迎える。
重賞勝利数で、いずれも2勝のプログノーシスとローシャムパークを上回っているのがヒシイグアス(牡7歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。
これまで獲得した重賞タイトルは、21年と23年の中山記念(G2)と、21年の中山金杯(G3)の計3つ。G1でも昨年の宝塚記念(G1)と、2年前の当レースで2着した実績がある。
7歳となった今年は、中山記念を8か月ぶりの休養明けで快勝したが、その後はやや低調。大阪杯(G1)が0秒6差で7着、札幌記念は1秒3差で5着、天皇賞・秋は2秒4差で9着と苦しんでいる。
ただ、同馬を管理するのは16年にモーリスで当レースを制している堀調教師だ。同師は他にも、同年の香港ヴァーズ(G1)をサトノクラウンで、15年の香港マイル(G1)をモーリスで制しており、香港での戦い方を知っているだけに、ヒシイグアスがここで復活劇を遂げても不思議ではないだろう。
鞍上には2年ぶりにJ.モレイラ騎手が配され、勝負気配を漂わせている。
そんな日本馬3頭に立ちはだかるのが、昨年の覇者ロマンチックウォリアー(セ5歳、香港・C.シャム厩舎)だ。
昨年の当レースを勝った時点でキャリア成績を10戦9勝とした地元の雄。しかし、今年はここまで6戦2勝と、ややスローダウンしている。
ただ、秋2戦目となった前走コックスプレート(豪G1)で激戦を制して、G1・4勝目。上り調子で暮れの大一番を迎える。
英愛でG1を3勝している実力馬のルクセンブルク(牡4歳、愛・A.オブライエン厩舎)もロマンチックウォリアーに勝るとも劣らない実力を持つ。
前走の愛チャンピオンS(G1)では果敢に逃げたが、オーギュストロダンに交わされての2着。ただし、その差は僅か半馬身だった。主催者発表のレーティングは、ロマンチックウォリアーと並ぶ123でメンバートップだけに、日本の3頭はこの馬の警戒も必要だろう。
この他には、父の父が05年のマイルCS(G1)と、同年の香港マイルを勝ったハットトリックというオリゾンドレ(セ3歳、仏・P.コティエ厩舎)、前哨戦のジョッキークラブC(G2)を制したストレートアロン(セ5歳、香港・C.ファウンズ厩舎)なども不気味な存在だ。
直近の8年で5勝を挙げている日本馬がロマンチックウォリアーの連覇を阻止するのか。それとも思わぬ伏兵が台頭するのか。注目の香港Cは、日本時間17時40分に発走を迎える。
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