【フィリーズレビュー(G2)展望】栗東滞在の効果は? 阪神JF3着馬コラソンビートが「桜戴冠」へ始動! 2番手以下は大混戦
10日に阪神競馬場で行われるフィリーズレビュー(G2)は、阪神内回りの芝1400mが舞台。外回り1600mで行われる桜花賞(G1)に直結するイメージは薄いが、過去10年で3頭が本番でも馬券に絡んでいる。今年の出走馬から果たして桜花賞で好走する馬は現れるか。
優勝に最も近いのはコラソンビート(牝3歳、美浦・加藤士津八厩舎)だろう。
昨年6月の1週目にデビューした同馬は、ボンドガール、チェルヴィニアがワンツーを決めた“伝説の新馬戦”で3着に好走。その後は未勝利、ダリア賞(OP)と順当に勝利を収めた。
さらに京王杯2歳S(G2)で牡馬を撃破して3連勝を飾ると、続く阪神ジュベナイルF(G1)では2番人気に支持された。スタートはやや遅れたが、ダッシュを利かせて中団前目の好位を確保したコラソンビート。直線を向いたときは先頭に立つ勢いだったが、最後はアスコリピチェーノとステレンボッシュに後れを取って3着に敗れている。
それでも初の関西遠征で地力の高さを証明。実績、実力ともに今回のメンバーでは頭一つ抜けた存在だ。ただし、あくまでも陣営が見据えるのは次の桜花賞だろう。前哨戦に仕上げ途上で臨むようなら、当然他馬にも付け入る隙がでてくるはずだ。
そこで浮上するのがシカゴスティング(牝3歳、栗東・庄野靖志厩舎)。デビューから5戦連続で人気以上の着順に好走している隠れた実力馬である。
デビュー2戦目で勝ち上がったシカゴスティングは、続くフェニックス賞(OP)で単勝1.1倍の断然人気に応えて2連勝。秋初戦のファンタジーS(G3)は12番人気の低評価だったが、中団からしぶとく伸びて3着に食い込んだ。
さらに阪神JFでも12番人気ながら5着と掲示板を確保。重賞で2戦連続の掲示板は決してフロックではないはず。その前走は5戦目にして初めて逃げる競馬を試みたが、これは鞍上・鮫島克駿騎手の判断。レース前のテンションが高かったため、我慢させずに思い切って行かせたという。
「一発あるならこういう競馬」と、鞍上の思い描いていたレース運びとなったが、直線の坂で失速。同レース3着のコラソンビートには0秒6差つけられており、逆転するには前走以上にロスのない立ち回りが必要となりそうだ。
ファンタジーSでシカゴスティングらを一蹴したのが、機動力が持ち味のカルチャーデイ(牝3歳、栗東・四位洋文厩舎)だ。
同馬は昨夏の小倉芝1200mでデビュー勝ちを収めると、続くファンタジーSが18頭立ての15番人気という人気薄だった。ほぼノーマークといえる立場だったが、鞍上の酒井学騎手が積極的なレース運びを見せて、大波乱の勝利を収めている。
続いて向かったのは阪神JF。好スタートを切り、好位からリズム良く運んだものの、差し馬有利の展開にも泣いて16着に沈んだ。
これまでの競馬ぶりに加えて、父がスプリント路線で活躍したファインニードルという血統背景もあり、今後の主戦場は1200~1400mになるかもしれない。距離短縮はプラスとなるはずだ。
“世界のYAHAGI”が送り込むドナベティ(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)も侮れない。
昨夏の北海道で芝1200mを2勝したスピード馬で、ファンタジーSでもカルチャーデイの2着に食い込んでいる。続く阪神JFは8着に敗れたが、上がり3ハロンはメンバー3位の末脚を駆使するなど、嵌ったときの切れ味は一線級。この馬も前走から1ハロンの距離短縮でさらにパフォーマンスを上げてくるだろう。
ロゼフレア(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)は、昨秋に未勝利戦、万両賞(2歳1勝クラス)を連勝した好素材。しかし3連勝を狙った前走の紅梅S(L)では1番人気に支持されるも、好位から伸びを欠いて4着に敗れた。今回は3戦3連対の阪神に舞台が戻って、巻き返してもおかしくない。
この他には、新馬戦で鮮やかな勝ちっぷりを見せたジューンブレア(牝3歳、栗東・武英智厩舎)、8年前の当レースで2着したアットザシーサイドを母に持つセシリエプラージュ(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)、半兄に朝日杯フューチュリティS(G1)覇者アルフレードがいるレディマリオン(牝3歳、栗東・長谷川浩大厩舎)など伏兵陣も多彩。打倒コラソンビートを狙う2番手以下の争いはし烈を極めそうだ。
桜花賞へ向けて大本命馬が順当に勝利を収めるのか、それともここに全力投球の短距離馬が大物食いを果たすのか。注目のフィリーズレビューは、10日15時35分に発走予定となっている。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
武豊「一発回答」チューリップ賞(G2)制覇に元主戦・永島まなみは何を思う?「またコンビを組ませていただける時は…」20年の時を経て巡り合ったスイープトウショウと武豊の不思議な関係
安田隆行調教師「有終の1000勝超え」に大攻勢! ロードカナロア、ウインバリアシオン、トロットスターらを手掛けた名伯楽たちの「最後の勝負馬」はコレだ!
M.デムーロ「バケモノ感がある」ダービー馬輩出の出世レース制し春クラシックに急浮上 武豊と初勝利のキタサンブラック弟に早くも「種牡馬入り」を望む声!? 川田将雅の「同期」が固め打ちでリーディング射程圏!【週末GJ人気記事ぶった斬り!】
「引退ヤリ」が気になる調教師たちのラストチャンス!安田隆行厩舎は19頭、中野栄治厩舎は15頭出走の大攻勢も…今年未勝利の2人に「爆穴」の予感
ソールオリエンス「完敗」で低レベル世代疑問が再燃も…5連勝で戴冠の「最強候補」が復帰間近、別路線でも明るい材料?