【皐月賞】M.デムーロと「勢力図」の塗り替えに成功!有力馬の凡走でレガレイラ最強説に拍車も…ネオユニヴァース、ドゥラメンテで制した名手にかかる期待
混迷続く今年のクラシック戦線を象徴するかのような逆転劇だった。
3日、中山競馬場で開催された弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、6番人気の伏兵コスモキュランダ(牡3、美浦・加藤士津八厩舎)が勝利。2着に3番人気のシンエンペラー、3着に9番人気のシリウスコルトが食い込んだ3連単の払戻は30万1710円の大波乱となった。
負け続けていた馬が大逆転で勢力図を塗り替え
勝ったコスモキュランダの単勝オッズ「34.9倍」でも分かる通り、一桁台の単勝オッズで人気を分けた4頭に注目が集まったレース。昨年のホープフルS(G1)で2着に好走していたシンエンペラーこそ意地を見せたが、1番人気トロヴァトーレは6着、2番人気ダノンエアズロックは7着、4番人気ファビュラススターは9着と凡走した。
それもそのはず。コスモキュランダはデビュー戦でシンガリ負けもあれば、京都2歳S(G3)でシンエンペラーの8着に完敗。前走の1勝クラスもファビュラススターの2着に敗れていた馬である。ひとつ上の5番人気シュバルツクーゲルでさえ単勝オッズが「17.4倍」なのだから約2倍の開きがあった。6番人気という見た目以上に多くのファンを驚かせる大逆転だったに違いない。
また、上位人気馬をまとめて倒したこの大金星は、「途中から動いた方が良いと思って動きました」と振り返ったM.デムーロ騎手の好騎乗が後押ししたことは間違いない。これには指揮官も「ジョッキーがすごく上手に乗ってくれました」と高評価。デムーロ騎手としても嬉しい今年の初重賞勝ちとなった。
その一方、対抗格と目されたライバルが躓いたことにより、現時点ではホープフルSを快勝したレガレイラの最強説に拍車が掛かったと同時に、ノーマークに近い評価だった伏兵の勝利がフロックの可能性も少なからずある。
ただ、レース前の成績を度外視して弥生賞の結果のみで考えた場合、コスモキュランダの走りは十分にクラシック候補と呼べる内容だったことも確かだ。
何しろ勝ちタイムの1分59秒8(良)は、2016年にレコード勝ちしたマカヒキの1分59秒9(良)を更新する好タイム。マイペースで逃げたシリウスコルトが3着に粘り込んだ展開を3~4コーナーからポジションを押し上げて押し切った。2着に退けたシンエンペラーにつけた1馬身1/4の着差は、同馬をホープフルSで負かしたレガレイラの3/4をも上回っていたのだ。
「弥生賞のコスモキュランダが、少なくとも過去の戦績からは想像できないような好走だったことは確かです。ですが、レース内容的にはG1で2着のシンエンペラーを負かしていますし、前残りする展開を後ろから差し切っての勝利ですから、十分に評価できると思います。
本番の皐月賞(G1)でデムーロ騎手が引き続きコンビを組むようなら軽視できない存在でしょう。皐月賞4勝を誇る名手としても得意舞台。大舞台に強い騎手ですから不気味な存在ですよ。ひとつ気になるとしたら近年における本番とのレース相性でしょうか」(競馬記者)
■M.デムーロ騎手の皐月賞勝利
2003年ネオユニヴァース(春二冠)
2004年ダイワメジャー
2013年ロゴタイプ
2015年ドゥラメンテ(春二冠)
ちなみに前走が弥生賞だった馬が皐月賞を優勝した例は、2010年のヴィクトワールピサを最後に13連敗中。昨年の弥生賞馬タスティエーラが皐月賞を2着に敗れ、その後の日本ダービー(G1)を制したように、なぜか近年は中山の皐月賞より東京のダービーで好走するケースも増えてきた。
今年優勝のコスモキュランダが皐月賞を勝てなかったとしても、競馬の祭典まで注目が必要な存在かもしれない。
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