B.ムルザバエフ「60%くらいの力で勝った」実力を証明!「あの馬ヤバくない?」と惚れ込んだ元主戦の再登板あるか
6日、船橋競馬場で行われた第69回ダイオライト記念(G2)は、B.ムルザバエフ騎手が騎乗したセラフィックコール(牡4、栗東・寺島良厩舎)が1番人気に応えて優勝。2着に4番人気テリオスベル、3着には2番人気ハギノアレグリアスが入った。
粒揃いといわれるダート4歳世代でトップクラスと目された実力馬が完全復活の狼煙を上げた。
前走のチャンピオンズC(G1)では2番人気に支持されるも、華麗な逃げ切り勝ちを演じた王者レモンポップから大きく離された10着完敗。このとき手綱を取ったM.デムーロ騎手も「直線に向いて思ったより伸びませんでした。外を回った分でしょうか」と振り返ったように、外枠が不利とされる中京のダート1800mも、自慢の末脚も不発に終わった一因かもしれない。
また、それまで圧勝を続けていた馬が、唯一ハナ差の辛勝を経験した舞台が東京の八王子特別(2勝クラス)だったこともあり、一部のファンから“左回り不得意説”を懸念されていた。
今回のダイオライト記念も同じく左回り、かつ未経験の2400mだったこともあってか、単勝オッズも2.4倍。数字としてはそれなりだが、2.9倍のハギノアレグリアス、3.1倍のディクテオンと三強を形成していたことを思えば、中央のG1で勝ち負けを期待されていた馬にしては、半信半疑のファンが多かったということだろう。
圧倒的な強さで戦前の不安を一蹴したセラフィックコール
しかし、いざレースが始まると、ただただセラフィックコールの強さが目立つ結果。無難にスタートを決めると、道中は好位の4番手を追走。向正面で鞍上のムルザバエフ騎手に促されて徐々にポジションを上げていき、バテたエルデュクラージュをパスして最終コーナー入り口では逃げたテリオスベルと2番手ハギノアレグリアスを射程に入れた。
こうなるともうセラフィックコールの独壇場。残り100mあたりで先頭に立つと、後は後続を突き放すのみ。2着に粘り込んだテリオスベルに4馬身差の大楽勝で完全復活を印象付けた。
「前走は良い形ではない負け方をしていたのも分かっていました。今日は距離が長かったですが、問題なく、しっかり走り切ってくれました。新馬戦の時から、この馬は重賞級だと言ったと思いますが、今日、証明することができました」
短期免許で来日中のムルザバエフ騎手は、奇しくも昨年デビューしたセラフィックコールのデビュー戦以来のコンビ。大楽勝でデビュー勝ちを決めたパートナーを「能力的には60%くらいの力での勝ち方」と評したように、当時から高い評価を与えていただけに、この圧勝にも驚きは小さかったかもしれない。
「世代最強の呼び声のあったミックファイアやセラフィックコールの連勝が止まり、先週もダートで無敗の続いていたサーマルソアリングが敗戦。世間の関心も武豊騎手が主戦を務める無敗のヤマニンウルスとオーサムリザルトの直接対決に向いていた状況だけに、セラフィックコールの復活は非常に楽しみです。
毎回のように出遅れるスタートの課題はありますが、今回はムルザバエフ騎手が早めにリカバー。末脚勝負に徹さなくても好位で立ち回れることが分かったのは大きいですね。前走で先着を許したハギノアレグリアスも問題にしなかったですし、仕切り直しの一戦としては100点満点といえそうです」(競馬記者)
管理する寺島調教師は、慣れない船橋でパーフェクトな騎乗を見せたムルザバエフ騎手に対し、「ジョッキーが上手く乗ってくれました」と納得の勝利。「春は帝王賞を大目標に、この後は短期放牧に出して、何らかの重賞を使いたいと思っています」とG1制覇を視野に入れていた。
その一方、ひとつ気になるとしたらムルザバエフ騎手の滞在が4月14日(日曜)までということである。目標の帝王賞(G1)は6月26日(水曜)のため、他の騎手とのコンビで大一番を迎えることとなる。
近走で騎乗していたM.デムーロ騎手を起用する選択肢もあった中、あえてムルザバエフ騎手への乗り替わりを決断していた背景を考えれば、次走ですんなりコンビ復活となるかどうかは今のところ分からない。
デムーロ騎手としては、セラフィックコールに「あの馬ヤバくない?」「化け物感ある」と惚れ込んでいただけに、もう一度チャンスが欲しいところ。自身もかきつばた記念(G3)をサンライズホーク、弥生賞ディープインパクト記念(G2)をコスモキュランダで制するなど上り調子。再コンビ結成に絶好のアピールとなったのではないか。
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