【天皇賞・春】天才・福永洋一も嘆いた稀代のクセ馬「気まぐれジョージ」…ドゥレッツァら逃げ馬に注意を払いつつ今年狙うのは【東大式必勝馬券予想】
先週の福島牝馬S(G3)は拙稿どおりコスタボニータ~ウインピクシスの1・3着で見事決まり、これでG1の桜花賞(ステレンボッシュ&アスコリピチェーノ)、皐月賞(ジャスティンミラノ&ジャンタルマンタル)と3週連続で2頭軸のドンズバ的中。今週もご期待あれ!
ということで28日は天皇賞・春(G1、京都・芝3200m)、今回で169回(秋も含む)を迎える伝統の一戦だ。私はタケシバオーが勝った第59回(昭和44年)からずっと見続けているが、目に焼き付いているのはスーパークリーク、メジロマックイーン、テイエムオペラオー、ディープインパクトら単勝オッズ1倍台の馬が完勝するシーン。
しかし本稿では天邪鬼になって伝説の大波乱となった一戦をしたためておこう。ファンの間でも周知の東大式鉄則「長距離の逃げ馬、侮ることなかれ」を再確認した瞬間でもある。
それは昭和51年(1976年)、勝ち馬はエリモジョージ、騎手は福永祐一調教師の父で“天才”と称えられた福永洋一である。馬の方の父・セントクレスピンは凱旋門賞(仏G1)を勝ったフランス馬で“不適切な話”かもだが来日時ED(勃起不全)に陥り背骨を木槌で叩いて整体するとあ~ら不思議、完治したという話。
母は明治時代に小岩井農場が輸入したビューチフルドリーマーを祖とし五冠馬シンザンらを輩出した名牝系のパッシングミドリ。そんな名家出身のエリモジョージは3歳(馬齢は当時)2戦目で初勝利、4戦目の白菊賞も勝ち、明け4歳で鞍上に天才・福永を得てシンザン記念を制しクラシックロードへ。しかし皐月賞は3着と健闘もダービー、次走札幌記念も12着大敗で失意のまま休養に入り、8月には牧場の厩舎が全焼し奇跡的に救出されるという事件も。
5歳となり平場のオープン2戦を凡走するもサンケイ大阪杯、鳴尾記念を逃げて連続3着し、天皇賞・春に駒を進める。1番人気は前年の菊花賞馬コクサイプリンス、2番人気が有馬記念馬イシノアラシ、続くは同い年でクラシックを善戦したロングホーク、ロングファストの“ロング2騎”にオークス馬トウコウエルザという強力メンバー。エリモジョージは皐月賞3着も忘れられた12番人気。
曇天・不良馬場で17頭のゲートは開く。エリモジョージはスタート100m過ぎでハナを奪い1周目直線でも「襟裳に春を告げるか、エリモジョージが先頭、快調に飛ばします」(カンテレ・杉本清アナ)、天才・福永の絶妙なペース配分で2周目の坂も先頭のまま最後の直線に入る。
有力馬が重い馬場にもがく中、逃げ脚衰えず武豊の父で名人・武邦彦騎乗のロングホークが猛追するもアタマ差押し切って「何もない襟裳に春を告げた!」(杉本清)。単勝は当時の同レースで最高の8190円……場内はどよめきとともに「さすが天才!福永」と称賛の声が響き渡った。
エリモジョージはこのあと3連敗も、8番人気の函館記念をレコード勝ち、京都大賞典9着を挟んで京都記念で61キロを背負いながら日本レコード(当時)で快勝と天才・福永をして「僕にもさっぱりわからへん」 と嘆かせ、ついた仇名が「気まぐれジョージ」、予想屋とファンを泣かせ続けた。
7歳になった宝塚記念でグリーングラスを寄せ付けず快勝。その後8戦勝てずじまいで8歳の宝塚記念13着を最後にターフを去った。諸氏もこの稀代のクセ馬の名を天才・福永の名騎乗とともに心に刻まれたい。
この辺で「東大馬券王の大よそー」に移ろう。
エリモジョージの後も、イングランディーレ、ビートブラックらが逃げて大波乱を演出しているこのレース。今年は前走の日経賞(G2)で大逃げし0.2秒差4着のマテンロウレオが行くのか?弱い4歳世代と揶揄されだしたドゥレッツァが逃げてこそ、と菊花賞(G1)の再現を狙うのか?
この2騎の逃げ切りには注意を払いつつ、本線は阪神大賞典(G2)を圧勝したテーオーロイヤルを頭に、同レース2、3着のワープスピード、ブローザホーン、充実著しいチャックネイト、去年3着のシルヴァーソニックの2、3着争いと見る。4週連続の2頭軸的中を狙うならドゥレッツァ&テーオーロイヤルでドカンといこう。ひそかにディープボンドが“4年連続2着”の珍記録を狙っているかもだが(笑)。
6週連続G1、幸先良いスタートでGWの後半は遠く襟裳へ“何もない春”を見に行きたいな!
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
【天皇賞・春(G1)展望】テーオーロイヤル勝てば「ゴールドシップ以来」の快挙!「低レベル説」払拭へ…4歳世代ドゥレッツァとタスティエーラの反撃は?
デビュー3年目の武豊が「神業」魅せた天皇賞・春…イナリワンとの邂逅でいよいよ凄みを増したリヴィングレジェンドの存在【競馬クロニクル 第52回】
ついに発見「2024春G1全勝」の法則!? 大阪杯も桜花賞も、そして皐月賞も…次の天皇賞・春は「あの馬番」が確勝か
「長い距離は合います」C.ルメールも高評価の「長距離砲」が武豊と天皇賞・春へ! 皐月賞参戦レガレイラと「歴史的快挙」が一気に2つ見られる可能性?
【天皇賞・春】テーオーロイヤルが見せた「当確級」パフォーマンス!メジロマックイーン、ナリタトップロードらも好走を約束?