
【安田記念プレーバック】8歳で“非業の死”を遂げた個性派…ロードカナロアに迫った驚愕の末脚!「クビ差」惜敗が種牡馬勢力図も変えた?

6月2日、東京競馬場では安田記念(G1)が行われる。過去の優勝馬には、オグリキャップやタイキシャトル、ウオッカ、モーリスなど数多くの名馬が名を連ねているが、2013年の安田記念を制したロードカナロアもまた紛れもない歴史的名馬の1頭だ。
ロードカナロアは前年秋のスプリンターズS(G1)から怒涛の重賞5連勝で安田記念を制覇。単勝1.3倍で制した高松宮記念(G1)に続く勝利でG1・4勝目を挙げた。
引退までに国内外で6つのG1タイトルを獲得したロードカナロアは種牡馬としても大活躍中。これまでアーモンドアイやサートゥルナーリアといったクラシックウイナーをはじめ数多くのG1馬、重賞ウイナーを輩出している。
ロードカナロアが現役時代に挙げたG1・6勝のうち5勝はスプリント戦だった。同年の安田記念が唯一、1200m以外のG1タイトルだったというわけだ。
ただその年の安田記念はロードカナロアが絶対的な存在だったわけではない。単勝オッズ4.0倍が示す通り、それまで10勝中9勝が6ハロン戦だった同馬には距離の不安もささやかれていた。
しかし、岩田康誠騎手を背に中団追走から最後の直線で力強く伸びて戴冠。レース後、岩田康騎手が「ゴール前で外から来る気配がしたので最後まで気を抜けませんでした」と話したように、2着馬にクビ差まで詰め寄られた薄氷の勝利だった。
そのロードカナロアをゴール前で猛追し、あと一歩のところまで王者を追い詰めたのがショウナンマイティである。
本馬はロードカナロアと同世代、つまりオルフェーヴル世代の1頭でもあった。2歳時から強烈な末脚を武器に注目を集めたが、本格化したのは古馬になってから。4歳の春に大阪杯(G2・当時)を制したように、主戦場は2000m前後の中距離だった。
ただし、生涯で獲得した重賞タイトルはその大阪杯だけ。毎回のように上位争いに顔を出すものの、勝ち味に遅いタイプだったのも事実だ。直線で豪脚を繰り出すも、差し届かず惜敗というシーンが非常に多かった。
最もG1制覇に近づいた13年の安田記念もやはり同様の“負けパターン”だった。いつも通り、スタートで遅れて、道中は外々を回らされるロス。さらに直線では何度か進路が塞がる不利もあった。
スタートがまともなら……、直線でスムーズに馬群をさばけていれば……。すべての歯車がかみ合っていれば、ロードカナロアを差し切っていてもおかしくなかったはずだ。ゴール前で見せた鬼脚はファンにそう思わせるには十分だった。
「クビ差」惜敗が種牡馬勢力図も変えた?
あと一歩で戴冠を逃したショウナンマイティはその後、スランプに突入。それでも1年後の安田記念で10番人気ながら3着に入り、復活の狼煙を上げた。しかし、故障で戦線を離脱すると、1年7か月ぶりにターフに戻ってきたが、その時はすでに8歳となっていた。
復帰したのは16年のアメリカジョッキークラブC(G2)。長期ブランクも嫌われてファンもほぼ忘れかけた存在だった(単勝50.3倍、11番人気)。しかし、このレースでは珍しくゲートを決めて、オッと思わせたが……。後方を追走していたショウナンマイティは向正面で急ブレーキ、そのまま騎手が下馬し競走中止。レース後にはJRAから「左前繋靭帯不全断裂」と発表があり、引退を余儀なくされた。
そして、その後は消息不明の状態になっていたが、引退から2年後の18年春に生まれ故郷の矢野牧場が「ショウナンマイティは引退して間もなく天に召されました」とSNSで公表。この時に同馬の死を初めて知ったファンも多かったのではないか。
あの安田記念をショウナンマイティが制していれば、ロードカナロアが“名スプリンター”と呼ばれることはあっても、“名マイラー”とは呼ばれることはなかっただろう。
もしロードカナロアのG1タイトルが1200mだけなら、種牡馬としての扱いも、産駒の育成方法も違い、アーモンドアイが短距離馬として競走生活を送っていた可能性も否定できない。そうなると、国内の種牡馬勢力図も少し違った景色になっていたかもしれない。
安田記念で箔をつけ大種牡馬となったロードカナロア。一方で、8歳まで現役を続け、最後は非業の死を遂げたショウナンマイティ。13年安田記念の「クビ差」は同世代の2頭にとって大きな分岐点となった。
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