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アイビスSD史上2度目の「傘マーク」に8枠神話も崩壊!? 「悲劇のヒロイン」サンアディユ登場から17年

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 26日、今週末に開催されるアイビスサマーダッシュ(G3)の枠順がJRAより発表された。毎週恒例の枠順発表だが、日本で唯一の千直重賞におけるその重要性は競馬ファンなら誰もが知るところだろう。

 舞台となる新潟・芝1000mの直線コースは「外枠」が圧倒的に有利なのだ。

 実際にアイビスSDの過去20年でも、外ラチを最も利用しやすい8枠が他を大きくリードしている。今年もフルゲートの18頭が集ったが、枠順発表で各陣営のトーンの明暗が大きく分かれた。それほどアイビスSDの枠順はレースに多大な影響を及ぼすのだ。

 だが、今年に限っては少し事情が異なるかもしれない。というのも今週の新潟は土曜が降水確率60%、日曜も同70%と雨が避けられそうもないからだ。

 2001年に第1回が開催されて今年で24回を迎えるアイビスSDだが、毎年のように好天に恵まれ、実は良馬場以外の開催となったのは2007年(重)の1度しかない。

 勝ったのは5歳牝馬のサンアディユ。13番人気の低評価を覆す激走で、これが重要初制覇だった。荒れることも多いアイビスSDだが、単勝77.1倍は同レースの最高配当である。

 ただ、その一方で上位馬の枠順だけを見れば7枠13番サンアディユ→8枠16番ナカヤマパラダイスとほぼデータ通りの結果。3着に2枠3番だったクーヴェルチュールが好走しているが、4着も8枠18番のアイルラヴァゲインだった。

 ということは、今年のアイビスSDも8枠や7枠の馬を軸にすれば……と考えがちだが、少し待ってほしい。というのもサンアディユはまったく外ラチに頼らずに、馬群から真一文字に抜け出しているからだ。

 馬群全体が例年通り外に流れたため、サンアディユが通った進路も馬場の約7分どころの外目であることは確かだ。だが、ゴール寸前には8枠のベストポジションから外ラチを頼っていたナカヤマパラダイスも、より良い馬場を探すかのように内へ切り込みながらゴールしている。

 つまり、重馬場で行われるアイビスSDに限っては、必ずしも大外が絶対的に有利になるとは限らない可能性があるということだ。

 ちなみに過去5年の新潟・芝1000mの稍重~不良の開催では、やはり8枠の成績が最も優れてるものの、勝利数と勝率で2位になったのは、馬場の7分どころを通れそうな6枠だった。

 また、史上唯一となる重馬場開催の2007年アイビスSDを勝利したサンアディユは、悲運のスプリンターとして記憶されている。

 アイビスSDで重賞初制覇を飾ったサンアディユは、同年のセントウルS(G2)を勝利すると、スプリンターズS(G1)でもアストンマーチャンと3/4馬身差の2着に好走。13番人気だったアイビスSDの勝利がフロックでなかったことを証明すると同時に、トップスプリンターの領域まで一気に駆け上がった。

 その後、単勝1.8倍に推された京阪杯(G3)で重賞2勝目を飾ったサンアディユ。スプリント王の座を完全に視界にとらえた翌2008年始動戦はオーシャンS(G3)だった。

 高松宮記念(G1)を見据えた前哨戦で単勝1.7倍に推されたサンアディユだったが、不本意な形でゲートが開かれた影響もあって大きな出遅れ。16着に大敗している。スタートの不備を指摘するマスコミや競馬ファン、さらにはレースに参加していた騎手を中心に大きな騒ぎとなり、翌日にはJRAが謝罪会見を開く事態に発展した。

 これだけなら、まだ救いがあったかもしれない。だが、本馬は同日に急性の心不全によって死去。レースとの因果関係は定かではないが、あまりにも唐突な形でこの世を去ることになってしまった。

 ちなみに本馬の馬名サンアディユは、フランス語で「さよならは言わないで」である。

 後にサンアディユ事件と言われる悲劇のヒロインがアイビスSDを制してから17年。今年は久々に重馬場での千直頂上決戦となりそうだ。果たして、悪条件を制して王者に輝くのはどの馬か。いずれにせよ、幸せな馬生を全うしてほしい。

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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