【アイビスSD(G3)展望】新婚の「千直女王」藤田菜七子にチャンス! 勝つのはスペシャリストか、秋を見据える大物か
JRA唯一の千直重賞にスピード自慢が集結
28日には、夏の新潟の風物詩アイビスサマーダッシュ(G3)が開催される。一度も曲がらないJRA唯一の千直重賞に今年もスピード自慢、そして1000mのスペシャリストが集った。
今年も混戦が予想されるが、まずはマウンテンムスメ(牝6歳、美浦・天間昭一厩舎)の名を挙げておきたい。
ここまで千直で1勝2着2回もこのメンバーでは特別目立ったものではないし、今年はこの舞台で大敗も続いた。しかし、藤田菜七子騎手とコンビを組んだ前走の韋駄天S(OP)では果敢にハナを切ると、逃げ粘っての2着。14番人気の低評価を覆している。
そんなマウンテンムスメの勢いも然ることながら、やはり注目は先日結婚発表をしたばかりの藤田騎手だろう。元々、この新潟千直の実績は抜群で「千直女王」の異名を持つ藤田騎手だが、アイビスSDの勲章にはまだ手が届いていない。ここは勝利騎手インタビューを通じて、全国の競馬ファンに結婚報告と行きたいところだ。
そのマウンテンムスメを韋駄天Sで破ったのが、チェイスザドリーム(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
マウンテンムスメが千直の常連であることに対して、チェイスザドリームは前走が初の千直参戦、そして初の芝挑戦だった。だがダート1000mで2戦2勝など、圧巻のスピードの持ち主ということもあって、ファンは1番人気に支持。レースでは前者にハナを譲ったものの、最後はきっちりと2番手から抜け出している。
この時は藤田騎手の兄弟子にあたる丸山元気騎手が鞍上を務めたが、今回は藤田騎手と同期の坂井瑠星騎手に乗り替わり。再びハナ争いが注目を集めることになりそうだ。
現役屈指のスピード自慢が集っただけに、ハナ争いがこの2頭に絞られるとは限らない。中でも逃げて重賞2勝を誇るテイエムスパーダ(牝5歳、栗東・木原一良厩舎)の存在は不気味だ。
一昨年のCBC賞(G3)で、まだデビューして間もない今村聖奈騎手と共にセンセーショナルな重賞初制覇を飾ったテイエムスパーダ。その後、惨敗が続いただけに一発屋で終わるのかと思いきや、昨年のセントウルS(G2)では単勝112.6倍の超低評価を覆して重賞2勝目を飾っている。
ポイントは両レースともすんなりハナに立ったことで、型にハマった際の粘り腰は驚異。最近は無理にハナに立たない競馬も試みているが、舞台が千直となれば話は変わってくる。継続騎乗となる酒井学騎手の手綱さばきにも注目だ。
逃げるか控えるかという点では、モズメイメイ(牝4歳、栗東・音無秀孝厩舎)の出方もレースに影響を与えそうだ。
3歳春には武豊騎手とのコンビで、逃げて重賞2勝を飾ったモズメイメイ。特に葵S(G3)で見せたダッシュは“反則”と言われるほどのロケットスタートだった。
その後、大敗が続いていたが、国分恭介騎手とコンビを組んだ前走の北九州記念(G3)では中団に控える競馬から3着と新味を披露。今回は逃げ有利な千直が舞台だが、継続騎乗が予定されているだけに再び控える競馬を試みる可能性もありそうだ。
年に一度の千直重賞に賭けるスペシャリストが目立つ中、ここをステップに夏のスプリント王、そして秋のスプリンターズS(G1)を見据えているのが、ウイングレイテスト(牡7歳、美浦・畠山吉宏厩舎)だ。
デイリー杯2歳S(G2)2着、ニュージーランドT(G3)3着など、元々はマイル路線で活躍していたウイングレイテスト。しかし、昨年10月のスワンS(G2)で初の1400mに挑戦すると、10番人気の低評価を覆して重賞初制覇を飾った。
陣営はその後、じょじょに短距離へシフト。1400m→1315m→1200mとステップを踏むと、前走の函館スプリントS(G3)で2着と結果が出た。今回はさらに距離を短縮した1000mになるが、どんな走りを見せてくれるのか楽しみの方が大きい。この馬を高く評価する主戦の松岡正海騎手はサマースプリント王、そして秋の電撃決戦を見据えているはずだ。
昨年のアイビスサマーダッシュで1番人気だったファイアダンサー、切れ味自慢のディヴィナシオン、稲妻S(3勝クラス)を勝ったマイヨアポア、カーバンクルS(OP)2着のグレイトゲイナーなどのスピードはここでも通用するはず。昨年のサマースプリント王ジャスパークローネは千直で変わり身を見せたいところだ。
果たして、今年の千直王に輝くのはどの馬か。注目のアイビスSDは28日の15時45分に発走予定。夏の変則開催で7Rとなるので、馬券を買う人は注意したい。
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