JRA浜中俊騎手にラストチャンス!?「超大物」ヴェロックスが8馬身差衝撃デビューも主戦を「絶対に譲りたくない」理由
昨年のセレクトセールにおいて約5000万円で落札されるなど、そこまで目立った存在ではなかったヴェロックス。血統的にも兄弟に目立った活躍馬はいない。
だが、本馬を管理するのは昨年の2歳王者で、今年の日本ダービー(G1)でも1番人気に推されたダノンプレミアムの中内田充正厩舎。さらに本馬を落札した馬主は、日本で最強の「相馬眼」を持つといわれる金子真人氏。述べるまでもなく、ダノンプレミアムが敗れたダービーを勝ったワグネリアンのオーナーだ。まさに今年のクラシックを牽引した「最強コンビ」といえるだろう。
一方、なんとしてもこの馬で「大きな仕事」を成し遂げたいのが、巻き返しを誓う浜中騎手だ。
「あくまで推測ですがヴェロックスの鞍上は本来、川田将雅騎手が務めていた可能性が高いと思います。ダノンプレミアムの主戦で知られている通り、川田騎手は中内田厩舎の御用達ですし、金子オーナーともラブリーデイなどを通じて交流が深い。今後も、場合によっては騎乗する機会があるかもしれません。
ただ、今の川田騎手は英国に長期遠征中。それで浜中騎手に白羽の矢が立ったのではないでしょうか。浜中騎手からすれば、もしかするとこれが騎手人生を分ける大きなチャンスになるかもしれません。生き残りを懸け、なんとしても活かしたいでしょうね」(同)
記者の話にあったラブリーデイは、2015年に最優秀4歳上牡馬に選出された名馬だが、G1・2勝の内、1勝が主戦の川田騎手による宝塚記念であり、もう1勝は川田騎手が騎乗停止になったため、急遽代打を務めた浜中騎手による天皇賞・秋だった。
あの時は代打によるワンチャンスを掴んだだけだったが、今回のヴェロックスは例え代打であったとしても、デビュー戦から手綱を執った意味は大きい。レース後の浜中騎手の「これは良い出会いになりました」という言葉には本馬との今後、そして何よりも「この馬を手放したくない」という強い思いが込められているように感じられた。
「浜中騎手は2012年に初の全国リーディングを獲得するなど、かつては『ポスト武豊の筆頭』といわれる存在でした。
その後も3年連続で100勝を上回るなど活躍。年齢の近い川田騎手とは、関西を代表する若手としてライバル視されていました。しかし、相次ぐ落馬負傷などで成績が低迷……そこに拍車を掛けたのが、競馬ファンの間でも『もういいでしょう』で知られる大レースでの相次ぐ斜行で、爽やかなルックスとは裏腹に、すっかりダーディなイメージが定着してしまいました。