
KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大「卒業」に秘められた思いを告白。「100m歩くのに10分もかかった」盟友・佐々木寿人にさえ明かさなかった満身創痍の3年間

3年前にMリーガーになった際、前原はMリーグを「自分のラストダンスの場」と位置付けていた。その通り、トップ中のトップ選手が集う最高峰の舞台で、すでに満身創痍の自分が長くはもたないであろうことは、誰よりも自分がわかっていた。そして、ついに終わりの時が来た。
「卒業という形になって、泣いてくれたんですよ」
実質的には前原自身の意思と、チームの刷新を図るKONAMI麻雀格闘倶楽部との意思が統合されての「卒業」となったが、退団が決まった席でマネージャーは堪え切れずに涙を流したという。
「KONAMI麻雀格闘倶楽部の公式Twitterの『中の人』ですね。泣かれているのを見て『本当に、つらい決断だったんだろうな』と。『前原さんがいるからチームがバランス良くまとまっていた』とか、色んなことをおっしゃってくれて……」
だからこそ、逆に前原自身は前向きになれたのかもしれない。「新陳代謝の無い世界は滅びる。若い人が世に出ていかないとダメ」「(自分が抜けた後の)次のチームのことを、より良くすればいい」「チームが新しくなったら、僕のことは忘れた方が良い」「人は忘れる生き物だし、新陳代謝とはそういうこと」と励ましの言葉を重ね、最後には明るく送り出してもらった。
「知識は知識でしかないんですよ。知識よりも、その知識をどう活かすかという知恵が大事。道を知っていることと、その道を歩くことは違う。僕は道を知っているかもしれないけど、もう満足には歩けないんですよ」
卒業を惜しむ声は未だに途絶えないが、前原にとっては「結果」を残せなかったことが、やはり大きい。「私は全日本結果論協会の会長ですから(笑)。あと平会員の寿人しかいないんですけど」と笑う。

「高宮の成長を見てると『若い人ってすごいな』って思いますもん。僕には、年齢的にもう伸びしろがほとんどない。もし自分にまだ大きな伸びしろがあるって思ってたら『来年、何が何でも結果を出しますから』って頼み込んででもMリーガーを続けたいって思っていたでしょうね」
今年でキャリア40年の節目を迎える前原にとっても、やはりMリーグは夢の舞台。何よりも、1分1秒でも長くKONAMI麻雀格闘倶楽部というファミリーと一緒に闘いたいという思いが、限界の限界まで身体を突き動かしてきた。
「チームを優勝させられなかった以上、満足はしていません。ただ、自分がこの先、(Mリーガーとして)できるのかという問題も含めて『思い残すことは何もない』と納得はしています」
最後にいつか、前原がKONAMI麻雀格闘倶楽部に「監督として復帰する意思があるのか」と尋ねてみた。前例はないが、プロ野球やJリーグでは定番になっていることであり、KONAMIファンからは早くもそういった声が上がっている。
だが、前原はコナミに迷惑が掛かってしまうという理由で「現状はあり得ないですね」と即答。まずは「日本一のKONAMI麻雀格闘倶楽部のサポーター」が当面の目標だ。ただ、最後には「『あり得ない』って前提のお話になりますけど、もし、将来的にあり得るのであれば喜んでやらせていただきます。例えノーギャラであったとしても」と話してくれた。
「これまで応援ありがとうございました。今後ともKONAMI麻雀格闘倶楽部、そしてMリーグをよろしくお願いします。私自身、麻雀プロとしてはまだまだ頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします」
自身のチームだけでなく「Mリーグをよろしくお願いします」と頭を下げるのは、今回に限らず、試合で勝利した際のインタビューで前原が毎回のように行なってきたことだ。
KONAMI麻雀格闘倶楽部の総帥であり、ファミリーの父、そして初代メンバーの最年長としてリーグを支え続けてきた、稀代の剛腕Mリーガー・前原雄大のラストダンスが終わった。(敬称略)
(文・聞き手=浅井宗次郎)
<著者プロフィール>
オペックホースが日本ダービーを勝った1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)
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