JRA 岡田牧雄氏「ダービーを獲れるという感覚がない」!? デアリングタクトにユーバーレーベン「相次ぐ故障発生」もタイトルホルダーに受け継がれる兄の“夢”

 受け継がれる兄の“夢”――。

 東京競馬場で行われた先週のオークス(G1)は、ユーバーレーベンが優勝。マイネル軍団総帥・岡田繁幸氏が他界した2カ月後に、クラシック制覇の悲願は達成された。

 繁幸氏は、ユーバーレーベンを有するビッグレッドファームグループの元代表。これまで多くの競走馬を生産し、数々のビッグタイトルも手にしている。

 しかし、最大目標と公言した日本ダービー(G1)制覇はならず。1986年にグランパズドリームが2着と健闘したが、その後は毎年のようにクラシックへと出走馬を送り込むも、日本ダービーはおろかクラシック制覇にも至らなかった。

 後継者でもある長男の紘和氏は「クラシックを勝てたのは嬉しいですし、父にも『やったよ』と伝えたいです」とユーバーレーベンのオークス勝利を喜んだ。

 繁幸氏の弟・牧雄氏は自身が代表を務めるノルマンディーオーナーズクラブの所有馬・デアリングタクトで、昨年は無敗の牝馬三冠を達成。それに続くユーバーレーベンでのクラシック制覇は、岡田家が取り組んできた馬産への情熱が実を結んだ結果でもあるだろう。

 しかし、ここにきて次々と試練が降りかかっている。

 14日、デアリングタクトの右前肢繋靱帯炎発症が発表されると、26日にはユーバーレーベンも左前屈腱周囲炎のような症状がでていることがわかった。

 これにより、デアリングタクトは出走を予定していた宝塚記念(G1)を見送り。ユーバーレーベンについては、管理する手塚調教師が『スポーツ報知』の取材に対し「しっかり休ませて回復を促す必要がある」と語っており、復帰時期については未定となっている。

 今週の日本ダービーには、牧雄氏が代表を務める岡田スタッドの生産馬であるタイトルホルダー(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)が出走予定。この流れを断ち切るためにも何とかしたいところだろうが、YouTubeチャンネル『テレビ東京スポーツ』のインタビューでは「私にはダービーを獲れるという感覚がない」と話す。

 一見、ネガティブなコメントともとれる牧雄氏の発言。だが、これは兄・繁幸氏のこれまでを見てきたからに他ならないだろう。

「私の兄はG1をたくさん獲って、ダービーに対する想いも凄かった」

 そのように語った牧雄氏。そんな繁幸氏の想いを垣間見れたのが、2004年の日本ダービーだったのではないだろうか。

 コスモバルク、コスモサンビーム、マイネルデュプレ、マイネルマクロス、マイネルブルックと5頭を出走させた繁幸氏。しかし結果は、グランパズドリームの2着に遠く及ばず、コスモバルクの8着が最高着順であった。

「(兄が)この辺にいて、ダービーを獲らせてくれるのではと考えたりはしますけど……とにかく、タイトルホルダーにダービー頑張ってほしいなって凄く思いますよ」

 兄の想いとともに臨む、今年の日本ダービー。胸に秘めたる気持ちは、誰よりも強いのかもしれない。(文=北野なるはや)

<著者プロフィール>
 某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。

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