JRA「重賞12連敗」武豊に最大の正念場!? 宝塚記念(G1)アリストテレス騎乗もカレンブーケドールと明暗、長期スランプ突入で勝率も急降下

クロノジェネシス 撮影:Ruriko.I

 27日、阪神競馬場で行われた宝塚記念(G1)は、1番人気のクロノジェネシスが優勝。2着に7番人気の伏兵ユニコーンライオンが逃げ粘り、2番人気のレイパパレは3着に終わった。

 単勝オッズ1桁台の上位人気馬では、3番人気カレンブーケドールが4着に入り意地を見せた。一方で単勝9.5倍の4番人気アリストテレス(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)は勝ち馬から1秒5差の9着に敗れた。

 菊花賞2着馬に初めて騎乗した武豊騎手。レース後に「狙ったポジションは取れましたが、4コーナー手前あたりから馬場の悪くなるところで、手応えが悪くなってしまいました。綺麗な馬場の方が良さそうです」と馬場を敗因として挙げた。

 だが、馬場状態についてはこれだけが敗因なのかというと違和感がある。

 この日の阪神芝は終日、良馬場発表。朝早くと昼過ぎに小雨は降ったが、そこまで馬場が大きく悪化することはなかった。さらに阪神開催は開幕2週目で、例年に比べると芝の状態はまずまず良かったともいえる。2:10.9の勝ちタイムも過去10年の良馬場で行われた宝塚記念で上位だった。

「大きかったのはやはり位置取りではないでしょうか。前半は比較的スローで流れ、後半はユニコーンライオンが早めにペースアップしたこともあり、ロングスパート戦に近い展開でした。

そのため、後ろからの組は追走に脚を使わされ、前残りに近い結果になっています。天皇賞・春(G1)で差のなかったカレンブーケドールから大きく後れを取ってしまったのは、アリストテレスが後ろ過ぎた影響もありそうです。

単純にアリストテレスの力が足りなかったと考えてもよさそうですが、ペース判断に定評のある武豊騎手にしては、レースに参加することなく終わってしまった印象です」(競馬記者)

 今年3月に52歳を迎えたレジェンド。年齢的に成績が下降するのも無理はない。特に顕著になっているのは5月以降だ。

 3月15日の誕生日直前には、2週連続で重賞を制覇するなど上り調子だった。しかし、その矢先に武騎手はアクシデントに見舞われてしまう。3月20日のレースで騎乗馬がゲート内で暴れ、右足を負傷してしまった。後日、右足の第2、3、4中足骨骨折が判明し、飛んでいた骨片を戻す手術も施された。

 その後は驚異の回復力を見せ、5月1日に実戦に復帰。最初のレースで勝利を挙げるなど、ケガの影響はないかに思えたのだが……。

「復帰後は乗り馬の質も下がり、結果的に成績も大きく落ち込んでいます。ケガをする前は18.5%という高い勝率を誇っていましたが、復帰後は8.6%、今年通算は14.2%まで下げています」(同)

 また重賞レースでも結果を出せていない。地方では今月16日に関東オークス(G2)を制し、一矢報いた。ところが、JRA重賞は、目下12連敗中。さすがと思わせたのはカデナを6着に導いた安田記念(G1)くらいだろう。

 これまで数々のケガを乗り越えてきた武豊騎手。3月の骨折からスピード復帰を果たしたものの、52歳という年齢を考えれば、騎手人生最大の試練を迎えているのかもしれない。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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