JRA女傑グランアレグリアの敗戦から3年。朝日杯FS(G1)10連敗中C.ルメール「G1勝てるチャンスある」ジオグリフで連敗街道にピリオド

C.ルメール騎手

「経験の差だと思います」

 そう敗因を挙げたのは、2018年の朝日杯FS(G1)でまさかの敗戦を喫したC.ルメール騎手だ。単勝1.5倍の断然1番人気に支持されたグランアレグリアに騎乗し、実に38年ぶりの牝馬での勝利に注目が集まったが、その偉業を達成することは出来なかった。

 あれから3年が経つが、その後もルメール騎手は、いまだに朝日杯FSを勝利することが出来ていない。同レース10連敗中と相性が悪く、同一G1に10度以上挑戦した中で唯一勝利できていないのが、この朝日杯FSだ。

 そんなルメール騎手だが、連敗ストップへ向け今年はジオグリフ(牡2、美浦・木村哲也厩舎)と挑む。前走後は、ホープフルS(G1)との両睨みということだったが、朝日杯FSを選択してきた。

 その理由の一つとして鞍上問題が挙げられるだろう。ルメール騎手が主戦で同じサンデーレーシングが所有するコマンドラインとの衝突を避けるために、コマンドラインをホープフルSにジオグリフを朝日杯FSに使い分けることで、ルメール騎手を確保したようにも見える。

 またジオグリフが軽い「喉なり」を持っていることからも、連勝した1800mから1600mへ距離短縮した可能性もある。過去2戦を振り返ってもレースに大きな影響があるとは思えないが、長い距離を走らせたくないという陣営の意図もありそうだ。

 そんなジオグリフは、新馬戦で後に東京スポーツ杯2歳S(G2)で2着のアサヒを相手に快勝。その東京スポーツ杯2歳Sの勝ち馬で、現在2歳最強の呼び声高いイクイノックスとの力関係を考えても勝るとも劣らない内容だった。

 前走の札幌2歳S(G3)は出遅れて最後方からの競馬。並の馬ならここで凡走して終わるが、ジオグリフは違った。道中から徐々に好位へ押し上げていき、4コーナーではまだ手応えに余裕があるほど。最後の直線で追い出されると後続をみるみる離し、結果2着に4馬身差の圧勝と格の違いを見せつけた。

 1週前の追い切りでは、ルメール騎手が美浦まで駆け付けWコースで5ハロン67秒6-11秒8を馬なりでマーク。3頭併せで外ハーメティキスト(古馬オープン)と併入、内ナイトフローリック(古馬1勝クラス)に1馬身半先着した。「ビルドアップしていい感じ」と『サンスポ』の取材にルメール騎手も馬体の成長を評価した。

 今回人気を分けそうなセリフォスやダノンスコーピオンは乗り替わり報道が出ており、ジオグリフと新馬から2戦コンビを組んでいるルメール騎手にとっては大きなアドバンテージがある。

 3年前のグランアレグリアでの敗因を「経験の差」と漏らしたルメール騎手だが、過去2戦で東京しか走っていなかったグランアレグリアに対し、ジオグリフは東京に加え、札幌を経験している。あの日グランアレグリアと成し得なかった朝日杯FS制覇を、今度はジオグリフで果たすチャンスがやってきた。

 サンデーレーシングとのコンビも朝日杯FSでは3度目の正直だ。自身の連敗にピリオドを打つべく、ルメール騎手の真骨頂が試される一戦となりそうだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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