JRA根岸S(G3)「メンバー唯一」条件クリアは実力に折り紙付きのG1馬! 前走敗因は前が壁でハッキリ、激走サインは見逃し厳禁

 30日、東京競馬場ではダートの短距離重賞・根岸S(G3)が行われる。モーニン、モズアスコット、ノンコノユメなど、近年の勝ち馬が、本番のフェブラリーS(G1)も制していることからも、ステップレースとして関連性の高さが際立っている。

 過去の結果を見返すと、リピーターが多い事もこのレースの特徴に挙げられる。以下の通り、多くの馬が同レースで好走を繰り返していることがわかる。

■2001~21年まで、過去20年間のリピーター
(※中山開催の2003年は除外)
ノボトゥルー(01年1着、02年2着、04年3着)
セイクリムズン(11年1着、13年3着)
シルクフォーチュン(12年1着、14年3着)
カフジテイク(17年1着、18年3着)
コパノキッキング(19年1着、20年2着)

タイムフライヤー

 そこで今回注目したいのが、昨年の3着馬タイムフライヤー(牡7、栗東・橋口慎介厩舎)だ。今年出走予定のメンバーで、条件に合致するのはこの馬のみ。リピーターが好走するなら、ぜひとも狙ってみたい1頭である。

 2歳時には芝のG1であるホープフルSを制したほどの実力馬だったが、その後は苦戦を強いられた。だが、19年の京都記念(G2)を最後にダートに転向すると、3戦目の武蔵野S(G3)で2着に好走。ダートでも通用する力を証明し、チャンピオンズC(G1)やフェブラリーSにも出走した。20年にはエルムS(G3)を勝ち、芝・ダート両重賞制覇を成し遂げた。

「伯父にダートG1・5勝を誇るタイムパラドックスがいる血統背景からも、ダートで好走したのは、何ら不思議はなかったといえます。もともと芝でも時計勝負に強い印象はなく、ダート転向は結果的に良かったかもしれません」(競馬誌ライター)

 しかし昨年の根岸S以後は結果が冴えず、2走前には久々となる芝レースにも出走したが、見せ場なく14着と大敗を喫した。陣営も復活の糸口を探っているような状況が続いている。

 そんななか、微かに復活の兆しが感じられたのは、前走の霜月S(OP)だ。

 2枠4番からスタートした同馬は、道中は中団よりやや後方の内で脚を溜めた。最後の直線では、鞍上の松岡正海騎手が進路を探すも中々前が開かず、しぶしぶ外に持ち出し懸命に追ったが、時すでに遅し。前を捉えるには至らなかった。

「前走は9着に敗れましたが、敗因は明確でした。最後の直線で前が壁という事はよくあることですが、当時騎乗していた松岡騎手は長期離脱明けから復帰したばかりで、強引な騎乗は心理的にも難しいでしょう。内枠で経済コースを通った分、脚は残っていましたが、結果的にポジショニングが仇となり、不完全燃焼に終わりました。

今回はM.デムーロ騎手に乗り替わる事に加え、斤量も前走から2キロ減の56キロで出走できる点はプラス材料と言えるでしょう。7歳となりましたが、前走の脚を見る限りまだ衰えは感じないですし、スムーズに回ってくればアッと驚く1発があってもおかしくありません」(同)

 今年の古馬混合重賞では、中山金杯(G3)のレッドガランをはじめ、先週行われた東海S(G2)を勝利したスワーヴアラミスなど、ベテラン勢の活躍が目立つ。この勢いに乗って久々の重賞制覇といきたいところだろう。

 1番人気想定のソリストサンダーは、ダート1400mの条件は5戦して勝ち星は無く、付け入る隙は十分ありそうだ。メンバー唯一のG1馬であるタイムフライヤーが、その実績とプライドにかけて激走する姿に期待したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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