天皇賞・秋の3歳馬リアル通信簿。ジオグリフがイクイノックス、ダノンベルーガを上回る決定的データ

 先週の菊花賞(G1)は、7番人気で2着となったボルドグフーシュを穴馬として推奨。会心の的中だったと思う。この勢いで今週の天皇賞・秋(G1)も結果を出したいところだ。

 その天皇賞・秋は、古馬と3歳馬の対決が話題となっている。すなわち昨年の日本ダービー(G1)を制し、ドバイシーマクラシック(G1)を制したシャフリヤール、札幌記念(G2)を快勝したジャックドール、大阪杯(G1)を勝利した2000mのスペシャリストであるポタジェ、そして現役屈指の快速馬パンサラッサという強力馬に対し、皐月賞(G1)を制したジオグリフ、皐月賞と日本ダービーで2着だったイクイノックス、日本ダービーで1番人気に支持されたダノンベルーガの戦いは激熱。

 3歳馬がどこまで古馬の一線級に通用するのかが、このレース最大の焦点といえよう。

 馬券的にも3歳馬の扱いは特に重要で、あらゆる視点から能力や適性を図ることは、この天皇賞・秋を的中させるポイントになる。そこで今回は3歳馬3頭をさまざまな視点からチェックし、3頭の格付けを検証して買うべき馬を選んでみた。

 まず2000年以降に天皇賞・秋を制した3歳馬をチェックしよう。

 中山競馬場で行われた2002年シンボリクリスエス、そして2021年エフフォーリアの2頭しかいない。東京競馬場で行われたレースに限れば、昨年のエフフォーリアしかおらず、これは1996年のバブルガムフェロー以来の快挙であった。

 次に同じく2000年以降の天皇賞・秋で、3着以内に好走した3歳馬も見てみよう。こちらはイスラボニータ、フェノーメノ、ペルーサ、ディープスカイ、アドマイヤムーン、ダンスインザムードとなっている。

■天皇賞・秋を勝利した3歳馬(2000年以降)

2021年 エフフォーリア
2002年 シンボリクリスエス

■天皇賞・秋で3着以内だった3歳馬(2000年以降)

2014年 イスラボニータ(3着)
2012年 フェノーメノ(2着)
2010年 ペルーサ(2着)
2008年 ディープスカイ(3着)
2006年 アドマイヤムーン(3着)
2004年 ダンスインザムード(2着)

 上記の8頭から、ローテーションや戦績から比較しにくい、牝馬のダンスインザムードを除く7頭を見てみると、以下の要素が浮上する。

・2歳時にデビュー
・3歳時に勝利
・芝2000m以上の重賞を勝利
・皐月賞もしくは日本ダービーで勝利実績がない場合は、8月以降にG2のレースに出走
・キャリア5戦以上
・皐月賞の勝利か日本ダービー2着以内が望ましい

 ここで重視したいのは、やはり芝2000m以上の重賞を勝利していること、そしてキャリア5戦以上だろう。古馬最高峰のレースだけに、同距離以上の重賞で勝利実績がないのは明らかにマイナス点。2000年のイーグルカフェや2012年のカレンブラックヒルは、NHKマイルC(G1)の優勝馬だったが、芝2000m以上の重賞で勝利がなく、馬券圏外に敗退している。

 さらにキャリアの浅い馬が、いきなり好走できるほど簡単なレースでもない。芝2000m以上の重賞で勝利がなく、しかもキャリア4戦でしかないイクイノックスとダノンベルーガには厳しいデータだ。

 さらに天皇賞・秋は現在7年連続でG1馬が勝利しているというデータがある。

 しかもその7頭が勝利したG1レースはモーリスを除き、すべて芝2000m以上のレース。これも古馬最高峰のレースであることを証明している。スピードとスタミナが要求される過酷な東京2000mにおいて、距離実績は重要といえる。

ジオグリフ

 以上の各ポイントを当てはめると、3頭の3歳馬でもっとも買えるのは「ジオグリフ」となる。

 昨年のエフフォーリア同様に芝2000mの皐月賞勝利実績、キャリア数などの共通点に合致し、さらに3歳勢で唯一のG1馬と、同馬の好走を後押しする要素が多い。

 一方でイクイノックスはキャリア不足と3歳で未勝利、そして芝2000m以上の重賞も未勝利などでマイナス。そしてダノンベルーガはキャリア不足、芝2000m以上の重賞で未勝利どころか3着以内もない。

 今年の天皇賞・秋に出走する3頭の3歳馬で、格付け1位となったのはジオグリフだ。続いて日本ダービー2着があるイクイノックス、ダノンベルーガと続くが、この2頭はデータ的に掲示板がギリギリかもしれない。ただ、人気はイクイノックス>ダノンベルーガ>ジオグリフとなる公算が大きく、データ通りに決まれば好配当が期待できるかもしれない。

仙谷コウタ

初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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