GJ > コラムニュース > 武豊「勝負の鬼」  > 3ページ目
NEW

武豊が「勝負の鬼」と化した天皇賞・秋。華麗さを捨て後輩騎手に”タックル”してでも勝ちに行った執念と覚悟

【この記事のキーワード】, ,

 当時の桜花賞が行われた旧阪神も、今回の天皇賞・秋も、共にスタートして間もなくコーナーに入るインが有利なコース。結果的にキタサンブラックの最大の勝因となる今回の進路取りも、武豊騎手にとっては豊富な経験が導き出した咄嗟の正着手だったのだろう。

 また、武豊騎手がキタサンブラックをインコースに潜り込ませたことには「2つ」のメリットがあった。

 1つは、ここ数日の雨により馬場が悪化していたため、各馬が内を避け、馬が渋滞していなかったこと。そして、もう1つは最も警戒すべき最大のライバル・サトノクラウンが、1枠2番から内々を回る公算が高かったことだ。

 言い換えれば、サトノクラウンについて行けば「自然に進路が生まれる」可能性が高かったということだ。実際に武豊騎手は、最後の直線に差し掛かる直前までサトノクラウンを執拗にマークし続けている。

 出遅れたにもかかわらず、最後の直線入り口では先頭に並び掛けているキタサンブラックの”ワープ”のカラクリは、ここにあった。少なくとも筆者は「キタサンブラックが『追い込んできた』」という実況をこれまで聞いたことがなかった。

 だが、この最後の直線入り口で、武豊騎手にすれば珍しく強引な進路取りを試みている。ちょうど先日の富士Sを制したエアスピネルのように、走りやすい馬場を求めて外側に進路を取るのは当然だ。だが、その際に隣を走っていたグレーターロンドンと馬体が接触しているのだ。

 無論、レース後に田辺騎手が「早めに動きましたが、直線は脚がありませんでした」と語ったようにグレーターロンドンの手応えはすでに怪しくなっており、この”タックル”が最大の敗因というわけではない。

 しかし、まさに「エスコート」と呼ぶに相応しい、巧みな進路取りを身上とする武豊騎手にしては珍しい。それだけ追い詰められており、例え華麗さを捨て、勝負の鬼になってでも「勝つ」という、このレースに懸ける意気込みの強さが伝わってくるシーンだった。

武豊が「勝負の鬼」と化した天皇賞・秋。華麗さを捨て後輩騎手に”タックル”してでも勝ちに行った執念と覚悟のページです。GJは、コラム、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

23:30更新
  • 総合
  1. クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
  2. ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
  3. 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
  4. 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
  5. 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
  6. エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
  7. C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
  8. 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
  9. 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
  10. 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!