GJ > コラムニュース > 武豊「勝負の鬼」  > 2ページ目
NEW

武豊が「勝負の鬼」と化した天皇賞・秋。華麗さを捨て後輩騎手に”タックル”してでも勝ちに行った執念と覚悟

【この記事のキーワード】, ,

 大歓声に悲鳴が混じり騒然とする中、武豊騎手はキタサンブラックを冷静にインコースへ促した。キャリア初の大きな出遅れであり、昨春のコンビ結成以来ずっと前で競馬をしてきたが、それでもまったく慌てることなく、即座に中団からの競馬に切り替えた。

 G1の大舞台で1番人気馬の出遅れ。普通の騎手なら、いや、トップ騎手でも頭の中が真っ白になってもおかしくはない瞬間だ。

 仮に、このまま敗れれば「何故、もっと早くポジションを挽回しなかった」と責められることは間違いない。実際に例に出すのは申し訳ないが、天皇賞・春の田辺裕信騎手や、毎日王冠のC.ルメール騎手といった名手でさえ、無理を承知でいち早く出遅れをリカバリーした。だが、その結果、無理が祟って人気馬で惨敗している。

 出遅れとは本来、それくらいの致命傷となり得るのだ。

 しかし、武豊騎手はレース後に「馬に気持ちが入り過ぎていたので『ちょっとマズイな』と思った」と語った通り、予め出遅れを覚悟していた。そして、出遅れた場合のプランを何パターンもシミュレートしている節がある。それは、この天才騎手が若干20歳の時に、すでに身に着けていた術だった。

 1989年4月。桜花賞で1番人気のシャダイカグラに騎乗していた武豊騎手は、当時「圧倒的に不利な大外枠は勝てない」というデータを跳ね返して勝利を上げた。その時の騎乗が、今回のように出遅れてからの差し切り勝ちだったのだ。

 あまりにも鮮やかな勝利に、ファンやメディアからはいち早く内に入るために「わざと出遅れた」という憶測が囁かれ”ユタカマジック”という言葉の語源にもなったが、当の本人は後にそれを否定。「出遅れることを想定していたので、冷静に対処できた」と語っている。

武豊が「勝負の鬼」と化した天皇賞・秋。華麗さを捨て後輩騎手に”タックル”してでも勝ちに行った執念と覚悟のページです。GJは、コラム、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

23:30更新
  • 総合
  1. クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
  2. ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
  3. 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
  4. 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
  5. 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
  6. エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
  7. C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
  8. 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
  9. 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
  10. 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!