JRA「史上最悪」禁止薬物問題に「隠蔽工作」疑い!? 実は「未然に防げた」が、昨年12月から「無検査」出荷……
まず『グリーンカル』は以前から競馬界で広く使用されており、従来の原材料に禁止薬物のテオブロミンが含まれているわけではない。したがって今回は製造過程において、何らかの原因でテオブロミンが混入されたと考えるのが妥当だ。
実際に製造を行っていた日本農産工業の子会社『ニッチク薬品工業』は、今回の問題が発覚した『グリーンカル』は以前と異なる窯で製造されたと発表しており、人為的な混入も否定できないものの、事故の原因になった可能性が高い。
ただ、ここまでなら事件は未然に防げた。何故なら、競走馬の飼料やサプリメントなどの薬物検査は『競走馬理化学研究所』などへ検査依頼する決まりがあるからだ。
しかし、伊藤氏が「一番の問題」と掲げた通り、今回の事件の「最大の原因」は、製造元によるここからの杜撰な対応だ。
「今回問題となったグリーンカルのロットは、今年4月に競走馬理化学研究所へ検査を依頼していたものです。しかし、それが何故か昨年12月から販売されており、今回被害に遭った厩舎はそれを納入してしまったというわけです。
何故、このような事態になったのか……製造元のニッチク薬品工業、親会社の日本農産工業は現在調査中とのことで理由が明らかになっていません。
まだ原因が明らかになっていないものの、現時点では非常に悪質で杜撰と言わざるを得ず、同製品のパンフレットに『本製品は(公)競走馬理化学研究所の検査を実施しており、競馬法に指定される禁止薬物の陰性を確認しております』と記載されている以上、厩舎側には防ぐ手立てがありませんよ。現場とJRAの信頼関係が大きく揺らいだのは間違いないでしょう」(同)
これだけでも「競馬の歴史上で類を見ないほどの事件」(日本騎手クラブ副会長・福永祐一騎手)だが、場合によっては問題がさらに「根深く悪質なものになる」可能性もあるという。