JRAセントウルS(G2)最下位アンヴァル「レース前」から予兆発覚!? 6番人気も大差シンガリ負け……レース後、熱中症発表に問われる管理体制
8日に阪神競馬場で行われたセントウルS(G2)は、1番人気のタワーオブロンドンが圧勝。主戦のC.ルメール騎手に先約があるため、スプリンターズS(G1)には浜中俊騎手とのコンビで出走することが発表されている。サマースプリント王者を決めた夏に3戦、さらに中2週で本番と本馬のタフさは驚異的だ。
その一方、レース後の体調が心配されている馬がいる。大差の最下位でゴールしたアンヴァル(牝4歳、栗東・藤岡健一厩舎)だ。
「行き脚がつかなかったし、勝負どころからも、この馬らしい反応が見られませんでした」
前走の北九州記念(G3)3着好走が評価され、強敵相手にも6番人気に支持されていたアンヴァル。勝てばライバルの結果次第でサマースプリント王者が懸かった一戦だったが、スタートでやや出負けすると、最後の直線では早々に藤岡康太騎手が追うのをやめ、ゴール後には下馬するシーンがあった。
「一瞬、故障かと思いましたが、どうやら熱中症の可能性が高いそうです。詳しくは検査の結果次第ですが、藤岡騎手も『大事に至らなければいいのですが……』と心配している様子でした。
以前から競走馬の熱中症を問題視する声がありましたが、仮にそうだとするとメインのレース中に起こってしまったのはレアケースだと思います」(競馬記者)
記者によると、この日のアンヴァルはパドックから少し大人しい印象があったという。実際にネット上の競馬ファンからも「アンヴァルだけ発汗が全然なかった」「返し馬からしんどそうだった」「レース前から呼吸が荒かったような」など、本馬の“サイン”に気付いているファンもいたようだ。
「各競馬場には獣医が待機していますから、こういった場合は大事を取ってレースを回避することもありますが、難しい判断だと思います。
先日、交流重賞2勝のウインムートが放牧中に熱中症とみられる症状で他界したばかり。今年もまだ残暑が続くらしいので、競走馬には万全の状態でレースを迎えてほしいところです」(同)
JRA競走馬総合研究所によると、人間より暑さに弱いサラブレッドは、気温が28度を超えた段階で熱中症のリスクが高まるという。各競馬場では熱中症対策が急がれているが、アンヴァルのケースは問題をますます深刻化させたといえるだろう。