JRA菊花賞(G1)ヴェロックス「距離不安」は血統面よりも……G1「1番人気4連敗」を予感させる主戦・川田将雅の言葉
20日に京都競馬場で行われる菊花賞(G1)。今年は皐月賞馬サートゥルナーリア、ダービー馬ロジャーバローズ、2着馬のダノンキングリーが不在とあって、皐月賞2着馬のヴェロックス(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)が大本命だ。
実際に桜花賞馬、オークス馬が不在だった先週の秋華賞(G1)では春2冠で3着だったクロノジェネシスが優勝。オークス2着のカレンブーケドールが2着、桜花賞2着のシゲルピンクダイヤが3着と、綺麗に既存勢力で収まった。
『netkeiba.com』の予想オッズでも現在単勝2.1倍に挙げられており、ヴェロックスが頭一つ抜けた存在であることは間違いないだろう。
ただ、本馬が淀の3000mを迎えるにあたっては「いくつか課題がある」といわれている。
まず、父が新種牡馬ジャスタウェイという血統的な距離不安だ。産駒は総じて、現役時代2000m以下のG1を3勝した父の傾向を受け継いでおり、マイルから2000mで良績が集中。現状の最長勝利距離は2400mで、2勝とも未勝利戦。それも僅差の決着だった。
母父がWild Again、兄弟たちの実績を見ても、血統的には距離延長がプラスでないことは明らかだ。
しかし、今の日本の長距離戦は「昔ほどスタミナがいらない」という見解がある。実際に昨年の菊花賞と天皇賞・春を制したフィエールマンが、2400mの凱旋門賞(仏G1)では重い馬場に苦しみ早々に失速。世界挑戦するにあたって、日本馬全体のスタミナの無さを問題視する声もあった。
それだけに近年の日本の長距離戦で、最大のカギを握るのはスタミナではなく「折り合い」である。
「ただ、その折り合い面で課題を見せたのがヴェロックスです。前走の神戸新聞杯(G2)は少頭数で、1000m通過が63.4秒という超スローペース。折り合い面で難しいレースになりましたが、レース後、川田将雅騎手が『久々の分、想定よりも力みが強かった』と指摘していました」(競馬記者)
そんな主戦騎手の忠告を受け、陣営はこの中間、リラックスさせる調整を重視。「折り合いと反応を見る感じ。ムキになるところもなく、イメージ通り」と手応えを語っている。
だが、これが本番でも通用するのかは、レースになってみないとわからない。少なくとも神戸新聞杯の前半のように、前に馬が置けない展開は避けたいところだろう。
主戦の川田騎手が有力馬に騎乗しながらも今年G1未勝利ということも気になるが、それ以上にここ3戦連続で「G1・1番人気」を裏切ってしまっていることが気掛かりだ。おそらくは今回で4戦連続となりそうな1番人気。果たして、悪い流れを払拭するような勝利となるか。