JRAブラストワンピース「凱旋門賞」2年連続挑戦へ「ハービンジャーが欧州の馬場に合わないわけがない」!? ノーザンFのあくなきチャレンジの理由
先週のAJCC(G2)で復活勝利を上げたブラストワンピース(牡5歳、栗東・大竹正博厩舎)に、再び世界の頂点を狙うプランが浮上している。
「もう1回、チャレンジしてもいいんじゃないかな」
そう語ったのは、生産者のノーザンファーム・吉田勝己代表だ。目指すのは、昨年11着に敗れたフランスの凱旋門賞(G1)。「ハービンジャー(の産駒)が、(欧州の馬場に)合わないわけがない」と、リベンジへ意欲を燃やしている。
「昨年はブラストワンピースと同じハービンジャー産駒のディアドラが、欧州の中でも『重い』とされるイギリスでG1制覇(ナッソーS)。世界No.2牝馬といわれたマジカルら強豪がそろった英チャンピオンS(G1)でも3着に好走しました。
あの走りを見れば、吉田(勝己)代表が、ハービンジャー産駒の欧州遠征に拘りを見せるのも頷けますね。ディープインパクトやキングカメハメハが亡くなったこともあって、ノーザンファーム内でも重要度が上がっています。その意味でも、ハービンジャー産駒のブラストワンピースで欧州制覇に期待するところは大きいでしょう」(競馬記者)
昨年の凱旋門賞以来となった先週のAJCCでは、好スタートから最後は粘るステイフーリッシュをねじ伏せるような横綱相撲。2カ月開催の最終週、稍重という“悪条件”……つまりは欧州のような重い馬場を、メンバー最速となる上がり3ハロン36.1秒の末脚で突き抜けた。
ブラストワンピースはこれまでゆりかもめ賞(500万下)、有馬記念(G1)、そしてAJCCといずれも稍重のレースを勝利。決して渋った馬場が苦手なタイプではない。日本馬としては、むしろ得意ともいえる。
昨年の凱旋門賞を11着と大敗したのは事実だが、この日のパリは前夜から当日の昼前まで断続的な雨模様で、馬場の含水量を示す数値は不良に近い重(TRES SOUPLE)の発表だった。
トレヴで凱旋門賞3連覇に挑んだことでも有名なC.ヘッドマーレック元調教師も「こうなってしまうと、もはや”ソフトグラウンド”ではありません。どの馬にも利をもたらさない馬場で、より高いフィジカルを求められるでしょう」と凱旋門賞当日の馬場を評した。
実際、第1レースに騎乗した騎手たちは、「Not soft, but very sticky」(ソフトではない、粘る)と口をそろえたように単なる重馬場ではなく、脚元にからみつくような特殊な馬場だったようだ。