JRA「史上初」「ナリタブライアン以来」!? 中内田厩舎から目が離せない
2019年JRA最高勝率調教師・優秀技術調教師をダブル受賞した中内田充正調教師から2020年も目が離せない。
中内田調教師はダノンプレミアム、ダノンファンタジー、ヴェロックス、クラヴァシュドール、リアアメリアといった有力馬を多数管理する若手調教師だ。
30日、ダノンプレミアムがドバイターフ(G1)の招待を辞退し、4月にオーストラリアで行われるクイーンエリザベスS(G1)へ向かう意向が明らかになった。中距離路線の馬にとってこの時期は、ドバイか大阪杯(G1)が王道のため、驚きの選択だった。
しかし、クイーンエリザベスSは昨年クルーガーが挑戦し、豪最強牝馬ウィンクスの2着に入る健闘を見せたレース。それだけにダノンプレミアム出走となると、日本馬による同レース初制覇の期待が高まるばかりだ。
また、今週はシルクロードS(G3)の特別登録馬の発表でも驚かされた。なんとヴェロックスが名を連ねていたのだ。同馬は皐月賞2着、日本ダービー3着、菊花賞3着と昨年のクラシックを盛り上げてきただけに、短距離ハンデ重賞への登録は誰もが目を疑った。多くの競馬ファンが「ナリタブライアン以来」と盛り上がったのではないか。
その後、シルクロードSの回避を決定。次走は2月16日の京都記念(G2)、23日の小倉大賞典(G3)、3月1日の中山記念(G2)が候補に挙がっているとのことだ。これにはファンは一安心したに違いない。
G1レース出走馬決定順はレーティング順位、収得賞金で決定される。ヴェロックスは昨年4月以降、収得賞金が「皐月賞の2着」、「神戸新聞杯の2着」分のみ。厩舎サイドとしては重賞を勝って、レーティング順位のアップ、収得賞金の加算をしておきたいのかもしれない。
京都記念、中山記念はドバイや大阪杯のステップレースとして多くの有力馬の出走が予想される。そのため、メンバーが手薄になりそうな小倉大賞典が勝利に一番近いレースだ。
しかし、小倉大賞典はハンデ重賞のため、いざ登録して重いハンデを課されたらたまらない。陣営はそのリスクを回避するためにシルクロードSに登録し、ハンデ確認をしたのではないかと思われる。
「僕には『ひと叩き』という発想がなく、とにかく勝ちを意識します」というコメントがJRA機関紙『優駿』に掲載されていることからも、今までにない手法を披露する中内田調教師のこだわりが感じられる。
昨年はJRA通算200勝を史上最速で達成するなど、競馬界の歴史を塗り替えている。しかしG1レースで5度の1番人気に支持されるも、1度も人気に応えることができない歯がゆい年でもあった。
G1の借りを返して、今年は新進気鋭の中内田調教師のさらなる飛躍の年となるだろうか。