JRA中山記念(G2)「忘れられたG1・2勝馬」ソウルスターリングを軽視できない理由
登録馬9頭中5頭がG1馬という豪華メンバーで行われる今年の中山記念(G2)。少頭数で好メンバーによる対戦ということで、波乱の余地が低く、穴党ファンの出番はないという見解もあるが、これに異を唱える記者がいる。
「出走するG1馬の中で最も評価が低いソウルスターリング(牝6歳、美浦・藤沢和雄厩舎)を軽く見ない方がいい。痛い目に遭うかもしれないよ」
『netkeiba.com』の予想単勝オッズは36.4倍で6番人気。レースへの出走は昨年のヴィクトリアマイル(G1、9着)以来となる。その後はエプソムカップ(G3)、府中牝馬S(G2)と続けて出走取消になったからだ。
管理する藤沢和雄調教師は『ラジオNIKKEI』の取材に「2回も迷惑をかけたのだから」と意気込むが、世間の2016年の阪神ジュベナイルF(G1)、2017年のオークス(G1)とG1で2勝を挙げているソウルスターリングへの評価は低い。
関東馬だが、意外なことに中山で出走するのは今回が初めてとなる。直線が長い東京競馬場や阪神競馬場での出走が多く、小回りで直線の短いコースで出走した経験は、新馬戦を勝ち上がり、2018年のクイーンS(G3)で3着に入った舞台となった札幌競馬場にしかない。
この2018年のクイーンSはスタートから2ハロン目が10秒8で、その後も11~12秒台のラップが続き、緩い流れとは言えないレースだった。
そんな中、ソウルスターリングは道中3番手のポジションから早めに動き、4コーナーから最後の直線に入った地点で先頭に立った。だが、そこで脚色が一杯になり、ディアドラ、フロンテアクイーンに交わされて3着に敗れている。
当時、ソウルスターリングの手綱を取っていた北村宏司騎手はレース後「早めに先頭に立つ形となって、踏ん張りづらくなった。展開が厳しかった」と語っている。
今回はマルターズアポジーという逃げ馬がいる。かつては速いラップを刻んで逃げる馬だったが、最近は先頭に立つのがやっとという競馬が多く、逃げることさえできないケースが目立つ。
逃げることが出来ても脚色が悪くなるのも早いという8歳馬だけに、ソウルスターリングはクイーンSの時よりも追走が楽になる可能性がある。展開に恵まれる可能性も十分にありえる。
府中牝馬Sを取り消しになった後、最初に時計を出したのは1月12日(日)と早かった。今月26日(水)の最終追い切りまで、美浦の坂路で時計が出た本数は19。乗り込み量は豊富で、状態に関しては問題ないと考えていいだろう。
クイーンSの時と同様、今回も北村宏騎手が手綱を取る。当時の経験を北村宏騎手が活かすことができれば、「忘れられたG1・2勝馬」であるソウルスターリングが波乱を演出するかもしれない。