JRAチューリップ賞(G2)「オーナー指令」クラヴァシュドール極限仕上げ!? 2歳女王レシステンシアと「逆転」まである理由

 7日に阪神競馬場で行われるチューリップ賞(G2)。今年は2歳女王レシステンシアが人気を集めているが、ソウルスターリング、ラッキーライラック、ダノンファンタジーと3年連続で阪神ジュベナイルF(G1)の勝ち馬が、このレースも勝っているのだから評価されて当然だ。

 しかし、今年はレシステンシアを含め阪神JFの1着~4着馬までが集結。キャリアの浅い3歳牝馬の戦いだけに、一戦だけで序列を決めてしまうのは早計だろう。

 そんな中、阪神JF3着馬クラヴァシュドール(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)から「下剋上」の匂いがプンプン漂っている。

「これまでにしっかりと時計を出しているし、やれることはやっています」

 本番の桜花賞(G1)が1カ月後に控える中、前哨戦とは思えないほどテンションが高いのがクラヴァシュドール陣営だ。単純に主戦の藤岡佑介騎手から、あえて勝負強さに定評のあるM.デムーロ騎手にチェンジしてきたことからも意気込みが感じられるが、すでに2週続けてコンタクトを取ってもらうなど、新コンビ結成に余念がない。

 当のデムーロ騎手も藤岡佑騎手から「調教では賢いけど、急にテンションが上がるところがある」とアドバイスをもらっており「能力の高さは感じた。本番が楽しみになるレースができれば」と感触は決して悪くない。

 栗東のCウッドで行われた最終追い切りこそテンションを上げ過ぎないよう単走だったが、最後まで切れのある走り。ライバルの“トライアル仕様”が目立つ中、クラヴァシュドールから“本気”が感じられるのは何故なのか。

「どうやら山紫オーナーの“指令”のようです。『叩き台』という使い方が嫌いな方で、1戦1戦勝負していくスタイル。昨年の最高勝率を誇る中内田厩舎に本馬を預けたのもそのためですし、陣営は明らかに『ここ』を獲りに来ていますよ。

けいこ量は十分ですし、馬体の張りは文句なしで毛ヅヤもピカピカ。多くの有力馬が本番を見据えてプラス体重で出走すると思いますが、この馬は阪神JFと同じくらいになるかもしれません」(競馬記者)

「先」を見据えた戦略もある。阪神JF・3着のクラヴァシュドールだが、賞金面ではサウジアラビアRC(G3)の2着があるだけで心許ない。陣営も春のG1戦線へ「この辺りで賞金面を含めて、勲章が欲しい」と息巻いている。

 無論、陣営が「前走は完敗」と語る2歳女王レシステンシアへの敬意は必要。デムーロ騎手も「相手は強い」と警戒を強めている。

 しかし、逆に述べればレシステンシアを意識できるほどの“戦闘態勢”はできている証。逃げたいレシステンシアに脚質的な脆さがある一方、クラヴァシュドールは「癖のない馬で操縦性が高い。展開や流れに注文もつかない」と馬券の軸には最適か。

 本番は先だが、トライアルのここなら「本気度」でクラヴァシュドールに一日の長がありそうだ。

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