JRA・NARそろって「全国休止」3月9日は20年ぶり「競馬」がない1日。思い出される「9年前」の出来事……
3月9日は日本から「競馬がなくなる」という嘘のような話が現実に起こっている。
1年中、地方競馬では全国の競馬場のいずれかで開催が行われているが、9日はすべての競馬場で開催が行われない。現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、中央競馬、地方競馬ともに無観客競馬を開催中で不安になるかもしれない。だが、開催がない理由と新型コロナウイルスは無関係のため、ご安心いただきたい。
理由は、地方競馬のシステム切替作業だ。「2020年3月9日(月)は地方競馬共通システムの切替作業を行うため、全ての地方競馬施設(競馬場・場外発売所)で発売・払戻業務を休止させていただきます」と先月NAR(地方競馬全国協会)から発表されている。
以前から発表されていた内容かつ無観客競馬開催中のため、目立った混乱は起こっていない。一安心とはいえ、現在の日本は新型コロナウイルスへの不安で溢れており、どこか思い出させられるのが2011年だ。
11日には東日本大震災発生から丸9年となる。震災後、被災地では避難所での生活、インフラの被害による供給網のトラブル、そして被災地に限らず電力不足で、街からネオンの光が消えた。このとき日本全体が暗い雰囲気に包まれていた。
この震災は競馬界に与えた影響も大きい。中央競馬では震災発生直後の土日開催を中止し、関東圏は約1か月間の開催休止が余儀なくされた。その後も影響は続き、皐月賞(G1)は1週遅れの東京競馬場で代替開催。岩手競馬が一番盛り上がりを見せる南部杯(G1)も東京競馬場で行われ、福島競馬場は開催を再開するのに1年以上を要した。
今振り返ると、2011年は異様な年だったが、決してマイナスばかりではない。
震災直後のドバイWC(G1)をヴィクトワールピサが優勝。日本馬が「世界の頂」に立つという初の快挙を成し遂げた。国内ではオルフェーヴルが史上7頭目のクラシック三冠を達成。競馬界では明るい話題が絶えず、元気のなかった日本を盛り上げた。競馬というスポーツのもつ力を再確認させられる1年だった。
10日から通常通り開催再開となる地方競馬。これから中央競馬は春のG1シーズンへ向けて益々の盛り上がりを見せる。無観客ながらも開催が行われることに感謝を忘れてはならない。1日だけのお休みとなったが、これからも競馬が今の日本に元気を与え続けるだろう。
※日本全国で競馬開催がない日は香淳皇后が崩御された翌日の2000年6月17日(土)以来20年ぶり。この時、中央競馬、地方競馬ともに開催の予定だったが、すべて服喪のため中止となっている。