JRAファルコンS(G3)武豊ラウダシオン「ミラクル」頼み!? 前走「奇跡的に……」重賞初制覇へ最有力候補も「弱点克服」の可能性は……

 デビューして間もない時期の若駒に騎乗する騎手には、勝ち負けの他にもうひとつ大きな仕事があると言われている。それは「レース」を教えることである。単なるスピード比べで勝つことができる時期は限られており、対戦相手が強くなれば、レース中のペース配分を覚えることも、出世する上での大切な要素となる。

 その際に重要となるのが脚質だ。最初はスピードの違いで逃げる競馬でも勝つことが可能だが、さらに上を目指すには、道中は番手で控えて脚を溜め、最後の直線で決め手を活かす競馬も必要になる。競馬専門紙等に記載される「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」などといった脚質は、こうした経験を経て固まるものである。

 そんな脚質という視点で14日(土)のファルコンS(G3)に注目すると、興味深い馬が浮上する。『netkeiba.com』の予想単勝オッズでは、2.4倍の1番人気に支持されているラウダシオン(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)である。このレースには3勝馬が2頭登録されているが、そのうちの1頭がこのラウダシオンだ。

 ラウダシオンが昨年6月に阪神で新馬戦を勝ち上がった際は、道中2~3番手から抜け出す競馬だった。続く2戦目の小倉2歳S(G3)ではゲートの出が悪かったこともあり、馬群の後方から追い込んで3着。

 3戦目のもみじS(OP)でも出遅れて道中5番手からとなったが抜け出して勝利し、4戦目の朝日杯FS(G1)は馬群の中団のまま、伸びを欠いて8着だった。

 しかし、前走のクロッカスS(L)での勝ちっぷりに驚いた人は多かったに違いない。デビューから5戦目で、初めて逃げる競馬となったのである。自らのペースでレースを引っ張ったラウダシオンは、そのまま後続を2馬身差で完封してしまったのだ。

 結果はともかく、この5戦で「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」の全てを経験してしまったことになる。

 クロッカスSで手綱を取った武豊騎手は、レース後にこんなコメントを残している。

「ゲートの中でうるさかったけど、奇跡的に出てくれました」

 このコメントがラウダシオンという馬の全てを物語っている。小倉2歳S、もみじSと続けて出遅れるなど、この馬はゲートに課題がある馬なのだ。武豊騎手は小倉2歳Sもラウダシオンの手綱を取っており、ゲートに課題があることを知っていたからこそのコメントである。

 仮に出遅れても能力の高さでカバーすることは可能だ。だが、そのゲートが決まれば、前走のような逃げ切り勝ちもできる。今回も引き続き手綱を取る武豊騎手としても、ゲートの出方次第で大きく作戦を変えることになるのだろう。腕達者な鞍上だからこそ、乗りこなすことができる馬ということになるのかもしれない。

 武豊騎手とラウダシオンは今回逃げるのか? それとも……?

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