【徹底考察】大阪杯(G2) キタサンブラック&アンビシャス「新時代を切り開く4歳勢の強豪をチェック!」
「2」アンビシャス編
『考察』
アンビシャスの前走中山記念(G2)で、今や世界屈指の存在となったドゥラメンテにクビ差まで迫った豪脚を見て、まず思ったことは「やはり強い」ということだった。
昨年はトライアルのプリンシパルS(OP)を勝ちながら日本ダービー(G1)をパスするなど、じっくりと育てられてきた本馬だったが、秋には毎日王冠(G2)で6着、天皇賞・秋(G1)で5着と実力の片鱗は十分に見せていた。
それも毎日王冠で1位、天皇賞・秋でも勝ったラブリーデイと同じ上がり3位の末脚を繰り出しており、切れ味という点においては、3歳秋の時点ですでに現役屈指のものがあった。そのため、中山記念の豪脚は個人的には驚きに値しないものだった。
ただ注意しなければならないのが、その時の中山芝コースの外側がかなり伸びる状態だったことだ。これは翌週に弥生賞(G2)を勝ったマカヒキにも言えることだが、あの時の中山はじっくり溜めて外から追い出せば確実に切れる馬場だった。
両馬ともあまりにも鮮やかな末脚だったため強烈な印象が残っているだろうが、あれは馬場を読み切っていたC・ルメール騎手のファインプレーでもあった。しっかりと考慮しておくべきだろう。
【血統診断】
近親の活躍馬はオークス(G1)4着のニシノアカツキ程度だが、ディープインパクト×エルコンドルパサーの配合となると、昨年エリザベス女王杯(G1)を制したマリアライトがそれにあたる。本馬の場合も母系にダート王ヴァーミリアンや菊花賞馬ソングオブウインドを輩出したエルコンドルパサー、サクラローレルを送り込んだレインボウクエスト、ネオユニヴァースの母父にあたるクリスと、欧州寄りの重厚な血が流れているため、ディープインパクト産駒であっても十分なスタミナがあるはずだ。現在は1800mや2000mで実績を残しているが、折り合い面で進境を見せればクラシックディスタンスでの活躍も見込める血統背景である。
≪結論≫
前走の中山記念はルメール騎手が上手かった点もあるが、それでも本馬が現役屈指の末脚の持ち主であることに変わりはない。無論、ここでも展開がハマれば、全馬ごぼう抜きまであるだろう。ただ、前走の中山記念を見て、この馬を「ドゥラメンテ級」と決めつけてしまうのは早計である。
さらに今回は、鞍上が横山典弘騎手にチェンジする点にも注意が必要だ。単純に合う、合わないといった問題もあるが、このメンバーを相手にしてどこまで開き直って脚を溜められるかも重要なポイントだ。溜めれば確実にいい脚が使える馬だけに、ベテランの度胸と手腕に期待したい。
[監修=下田 照雄(栗東担当)]