JRAブリーズアップセールに「テレワーク」の波!? 開催方法変更で競馬界に「革新」を起こすか
14日、JRAは28日に予定していた「JRAブリーズアップセール」の開催方法を変更することを発表した。
同セールは、JRA育成馬を売却することを目的に2005年からスタート。上場されるのは、JRAが1歳市場で購買して、日高と宮崎の育成牧場で育成された2歳馬が中心である。これまでも08年の朝日杯FS(G1)を制したセイウンワンダー、06年のフィリーズレビュー(G2)を制したダイワパッションなどの活躍馬を輩出したことでも知られている。
昨年は過去最高の9億1260万円の総売上を記録し、ほぼ毎年100%の売却率を誇る注目のセールだ。
例年、中山競馬場で開催されており、約80頭の上場馬がコースを走り、その動きとタイム、馬体をチェックしたうえでセリが行われていた。
しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、中山競馬場での開催が中止。最新の調教動画を日高、宮崎の育成牧場において撮影のうえ、動画配信にて対応するとしている。そして入札の方法は「メールによる入札」に変更。詳細については後日発表するとしている。
セリと言えば、「掛け声」や「ハンマーの音」の臨場感、そして「もう一声」が挙がったときのざわつきなどが醍醐味だろう。しかし、今回の変更によって残念ながらセリの臨場感を味わえそうにない。そして配信動画で上場馬を確認するとなると、肉眼とは異なり全員が同じ視点でのチェックとなってしまう。これには「相馬眼」がかなり求められることになるだろう。
今回の変更内容はある意味、現在の世の中を象徴するものかもしれない。
新型コロナウイルスの影響により、「時差出勤」や「テレワーク」といった新しい働き方が世の中に浸透しつつある。実際にテレビ会議を導入する企業も増えており、直接顔を合わせる必要はないのではないかという考えも出てきて、これまでの仕事を見直すきっかけとなっているという話もあるぐらいだ。
アフターコロナという言葉もあり、今回の新型コロナウイルスの影響で生活スタイルが変わるのではないかと言われている。前述の働き方をはじめ、現金社会が非接触型の電子決済に変わるといった内容だ。
もしかすると、競走馬のセールにも革新がもたらされるかもしれない。今回のJRAブリーズアップセールで実施される方式をブラッシュアップして、現地と遠隔地のどちらでも参加できるようにすることも可能だろう。そうなれば、これも立派なアフターコロナだ。
もしかすると今年のブリーズアップセールは競馬の歴史に1ページを刻むことになるかもしれない。