JRA「10馬身差」の期待馬は海外を視野!? ディープインパクト、アーモンドアイを知る「ノーザンファーム」出身の新人調教師が偉業に挑む
「地方からの怪物」が早くも来年のドバイを視野に入れているようだ。
5日に行われた中山6R(1勝クラス)は、地方から再転入のダンシングプリンス(牡4歳、美浦・宮田敬介厩舎)の衝撃的な再デビューとなった。
地方では3戦3勝。「大差、8馬身差、5馬身差」とすべてのレースで圧勝しており、中央再転入初戦ながら、単勝オッズ1.7倍の圧倒的支持を集めていた。
スタートして先頭に立つと、前半3Fを33秒5のハイペースで逃げたダンシングプリンス。1200m戦とはいえ、ダートの良馬場というコンディションを考えると、あまりにも無謀なペースに思われた。だが、脚色は全く衰えることなく、ジョッキーは手綱を持ったままで、後続に10馬身差をつける圧勝。見事、期待に応える勝利を飾ったのだ。
宮田敬介調教師は「まずはホッとしています。強い勝ち方をするような馬を預けていただき、感謝しています。開業にあたり、多くの方にご協力、ご尽力いただきました」と、喜びとともに感謝の言葉を口にした。
この宮田調教師、実は3月に厩舎を開業したばかりの新人。そのため、これだけの期待馬が無事に勝利したこと、自身の厩舎開業後の初勝利を挙げたことで「ホッとした」というのは正直な感想だろう。
また宮田調教師はただの新人調教師ではなく、意外な経歴の持ち主でもある。
2006年に厩務員として美浦トレセンで働き始め、これまで栗田博憲厩舎、田島俊明厩舎、国枝栄厩舎で調教助手を務めてきた。これは珍しい経歴ではないが、それ以前に「ノーザンファーム」で勤務経験があり、そのときにデビュー前のディープインパクトに跨ったことがあるという滅多にできない経験をしているのだ。
ダンシングプリンスを預かった経緯について、『netkeiba.com』のインタビューで宮田調教師は「社台ファームさんなどに開業前に挨拶に伺った時に、吉田照哉社長がこの馬はすごいなと仰っていました。丁度その頃、自分の厩舎に馬を入れていただけるように営業をしていましたので、タイミング良く預からせて頂くことになりました」と話している。
かつて社台グループでの勤務経験があったからこそ、ダンシングプリンスの受託は実現したのだろう。
また同インタビューで、来年のドバイのゴールデンシャヒーン(G1)にダンシングプリンスと行きたいと語っている。国枝厩舎時代にはアーモンドアイのドバイ遠征に帯同した経験があるため、新人調教師ながらドバイという大きな目標を掲げているのかもしれない。
そのゴールデンシャヒーンは2002年のブロードアピールに始まり、これまで11頭の日本馬が挑戦したが、未だに優勝できていないレースだ。ダンシングプリンスが優勝することができれば、史上初の快挙となる。
ディープインパクト、アーモンドアイといった名馬を間近で見てきた新人調教師が、いきなりの偉業達成をするかもしれない。「地方からの怪物」ダンシングプリンス、「異色の新人」宮田調教師から目が離せない。