JRA天皇賞・春「2億5000万円馬」トーセンカンビーナに藤岡康太が乗り続けられる理由。「伝説の新馬戦」から2年、ついに大舞台へ
今週3日に行なわれる天皇賞・春(G1)に出走するトーセンカンビーナ(牡4、栗東・角居勝彦厩舎)。
春のクラシッックに出られなかった馬が、まだ1勝クラスだった夏からゆっくりと頭角を現し始めて、今年の3月に阪神大賞典(G2)で2着に。ようやく大舞台に上り詰めた。
「2016年セレクトセールで2億4840万円で取引された高額馬。中京の新馬戦に出た時、取引額2億7000万円のダノンチェイサーと”高額取引馬対決”といわれて、注目を集めました」(競馬記者)
レース内容も良く、勝ち馬カテドラル、4着ダノンチェイサーと、翌年の3歳G1の前哨戦で馬券になった馬が2頭。その中でトーセンカンビーナは2着に突っ込んできた。残念ながら、まだこのメンバーからG1馬が出ていないのだが、今回トーセンカンビーナに「春の盾」を取るチャンスが回ってきた。
トーセンカンビーナの激走の「鍵」を握るのは、手綱を握る藤岡康太騎手だ。
「その理由は、彼の『乗り方』にあります。この馬はデビュー以来、出遅れ癖があり、後手を踏んで結果が出ず、陣営を悩ませてきました。それが、藤岡康騎手が主戦になってから、結果が出始めたのです」(同)
トーセンカンビーナが安定してきたのは、昨年の夏、藤岡康騎手が乗るようになってからだ。6戦騎乗し、3勝2着2回5着1回。掲示板を外したことがない。
だが、この馬の出遅れ癖は、今も治っていないという。
「他の騎手の場合、出遅れると慌てて追い上げたり、外をまわして位置を取りにいったりします。藤岡康騎手の場合、出遅れても慌てません。馬のリズムを大事にして、後ろから競馬をします。それが上手くトーセンカンビーナの末脚の威力につながっているようです」(同)
初めて騎乗したレースは上がり3ハロン2位だったが、残りの5戦は全て上がり3ハロン最速を記録している。
「出遅れても冷静に最後方に下げて、最後の直線で末脚を爆発させる……馬を信じてこその騎乗であり、陣営はそこを認めていて、信頼して彼を乗せ続けています」(同)
この馬の「持ち味」を考えて、陣営が長距離ばかり使うのも納得がいく。
「前走の阪神大賞典は上手な競馬でしたが、藤岡康騎手は『馬は直線でよく馬群を割ってきましたし、(自分が)もっと馬を捌いていれば……』と反省のコメントでした。
次も長丁場のレースですから、経験が活きてくるはずです。おそらく彼は、同じ轍は踏まないと思います」(同)
藤岡康騎手は、G1で人気薄の時によく馬券になる。今回もそれほど人気は出ないだろう。
トーセンカンビーナは、この天皇賞が年明け3戦目になり、状態もいい。これまで通りのリズムでレースを運べば、ラストの末脚でフィエールマン撃破も夢ではないだろう。トーセンカンビーナのG1制覇が近づいてきた。