JRA 崖っぷち騎手の「ムチ連打違反」が目にあまる!? 約1カ月で「4回」違反罰金は後がないゆえの”気合いの表れ”か……
1着賞金は約11億円、2着でも3億8500万円という規格外の賞金で話題となったサウジC。だが賞金だけではなく、罰金も規格外だった。2着の米国馬ミッドナイトビズーに騎乗したM.スミス騎手が、鞭の過剰使用(レース中にムチを打つのは10回までと定められていた)で8日間の騎乗停止と獲得賞金のうち60%にあたる21万ドル(約2310万円)を没収されることになった。
ミッドナイトビズーは、勝ち馬マキシマムセキュリティとは4分の3馬身差。スミス騎手も勝利を追い求めすぎるあまり、ヒートアップしてしまい、ムチを打ちすぎたのかもしれない。
だがそれでもルールを破るのはいただけない。そしてJRAでもムチの使いすぎが問題視されている騎手がいる。栗東の川須栄彦騎手だ。
川須騎手は4月26日の京都競馬場第10Rで、ロードブレスに騎乗した際、最後の直線コースでの御法(鞭の使用)について過怠金処分を下された。これを皮切りに、5月9日、10日、そして17日と、約1カ月の間に4度もムチの使いすぎで過怠金処分となっている。
「JRAでは『御法(鞭の使用)』は、2014年以降、国際ルールの統一及び動物愛護の観点から、原則『1レース内で連続10回まで』と定められています。
ただこの処分が下った4レースで、川須騎手は2勝2着1回着外1回という結果。その2度の勝利は、同着とタイム差なしの決着。また2着でも半馬身差と惜しい結果です。さらに着外に終わったレースも、最低人気だったジョルジュサンクを6着まで持ってくるなど健闘しています。ムチの使いすぎはよくありませんが、これらはがむしゃらに勝利を求めたためだったのかもしれません」(競馬誌ライター)
川須騎手は、デビュー初年度は18勝だったものの、2年目に91勝をあげてブレイク。翌年も69勝をあげ、重賞も3勝するなどしたが、その後は徐々に成績は右肩下がり。近年は20勝にも届かない状況が続いていた。
「川須騎手をはじめ、関西の多くの若手騎手は2年目にグンと成績が伸びます。これは減量恩恵や若手を有力馬に乗せてチャンスを与えようとするスタッフの温情があってのもの。しかしこの結果を実力だと勘違いし、周囲に対して横柄な態度に出てひんしゅくを買う騎手もいるんです。そのため、減量恩恵がなくなると同時に有力馬の乗鞍を失い、成績が急下降する騎手も多いんですよ。川須騎手もそのひとりとして名前が上がることがありました。
ただ今年はすでに12勝をあげるなど、低迷している近年に比べると良好なペースで勝ち星をあげています。30歳を目前にして、いよいよ後がないと腹をくくったためなのかもしれません。ルールで決められている以上、ムチの叩き過ぎはダメですが、気合いは入っているのは間違いないようです」(競馬記者)
川須騎手の復活劇を見たい。