JRA武豊と「復縁」!? 空気の読めないイタリア人がG1制覇を2度阻止……緊急降板が物議を醸したあの馬が、まさかのダート転向
エアスピネル(牡7、栗東・笹田和秀厩舎)が、阪神競馬場で行われる7月12日(日)のプロキオンS(G3)に出走を予定していることがわかった。13着に敗れた昨年の函館記念(G3)以来の復帰となる。
4年前のクラシックを賑わせたエアスピネル。父キングカメハメハ、母に秋華賞馬エアメサイアを持つ良血馬だ。武豊騎手の初勝利が懸かった朝日杯FS(G1)では、M.デムーロ騎手のリオンディーズに敗れて2着に終わった。
あとわずかというところで、勝利をさらっていったデムーロ騎手に対して「空気の読めないイタリア人がいたもんで……」と武豊騎手が悔しがったのは有名な話である。
デビューから武豊騎手が手綱を取り続けた期待馬も、強敵の揃ったクラシックでは善戦止まりだった。だが、古馬になってマイル路線に転戦したことが、再浮上のきっかけとなった。
秋に迎えた富士S(G3)をイスラボニータやペルシアンナイトらの強豪を相手に圧勝し、ついにG1を手中に収めるかに思われた。
ところが、思わぬトラブルの発生で事態は急変する。
マイルCSの10日前に、武豊騎手が調教中の落馬により負傷。エアスピネルは急遽、R.ムーア騎手への乗り替わりが発表された。理由について陣営は「武豊騎手の怪我の状態とG1であることを考慮しオーナーサイドと最善の形を取った」と説明した。
しかし、降ろされた格好となった武豊騎手は同じレースでジョーストリクトリに騎乗しており、この乗り替わりには物議を醸すこととなった。
レースは、エアスピネルが直線で外から先行勢をまとめて交わし、早め先頭から押し切りを計ったところを、馬群の間から抜けて来たペルシアンナイトに差されてハナ差の惜敗。エアスピネルは朝日杯に続き、またしてもデムーロ騎手の前に苦杯を飲まされることとなった。
「あのマイルCSの乗り替わりは賛否両論でしたね。武豊騎手がG1の直前で負傷したことはありますが、同じレースで別の馬に騎乗していたことには違和感がありました。札幌記念ではルメール騎手を乗せたように、陣営は惜敗の責任を武豊騎手に求めていたフシも見え隠れしていました。
ムーア騎手の手綱でなんとしても勝利したかったはずですが、よりによってまたデムーロ騎手の馬に敗れてしまいました。一応、次走では武豊騎手が騎乗しましたが、続けて騎乗することはありませんでした。この一件が確執の原因となったかもしれませんね」(競馬記者)
18年のマイラーズC(G2)は武豊騎手が再び手綱を取ったものの3着と敗れ、以降は福永祐一騎手へと乗り替わることとなった。
エアスピネルの近走成績は精彩を欠いており、往年の力は期待できないかもしれないが、ダートに転戦して復活したモズアスコットのような事例もある。
休養期間も長く、7歳ならまだまだ復活の可能性もあるのではないか。
初のダート戦で存在感をアピールすることができるか。現在、騎手は未定となっているだけに、かつての主戦・武豊騎手との復縁があるかにも注目したい。