JRA 「もっと大胆に乗っていいのかもしれない」日本ダービー(G1)初参戦の「覚醒」津村明秀が伏兵ビターエンダーと頂点獲りへ
「いちばん華やかで、競馬の頂点を決めるレース。みんなが勝ちたいと思っているレースですからね」
津村明秀騎手のビターエンダー(牡3歳、美浦・相沢郁厩舎)が、プリンシパルS(L)を勝利。3番手追走から最後の直線で先頭に立ったビターエンダーは、外から脚を伸ばした良血ポタジェをしのいで、31日に開催される日本ダービー(G1)への出走権を手に入れた。
苦節17年。競馬学校時代からその高い才能は認められていたものの、津村騎手は日本ダービーでの騎乗経験はなし。同期の川田将雅騎手、藤岡佑介騎手、丹内祐次騎手らが、“憧れのダービー”で騎乗していたのをどんな思いで見ていたのか、想像に難くない。
そしてこれまでは、G1の舞台でも同期に後れを取っていた。だが昨年、カレンブーケドールとのタッグでオークス(G1)2着、秋華賞(G1)2着、ジャパンC(G1)2着。初制覇こそ成し遂げられなかったものの、G1で3度の2着と結果を残し、自身の存在を大きく印象づけることに成功している。
津村騎手は『netkeiba.com』での藤岡佑介騎手との対談で、飛躍のきっかけとなったカレンブーケドールでのオークスについて、「自分が思い描いていたレースにはならなかったし、決して上手く乗ったとは言えない」と語ったものの、「案外G1というレースは、大雑把というか、もっと大胆に乗っていいのかもしれないって思えた」と振り返っている。
「またカレンブーケドールで挑んだ秋華賞では、最後の直線で狭いところを割っていき、自身でも驚くほどの積極性を発揮。さらにジャパンCでは完璧なレース運びだったものの、2着に終わり、勝ち馬のスワーヴリチャードと、鞍上のO.マーフィー騎手を見つめるなど、かつてないほど勝利に貪欲な姿勢を見せていたようです。カレンブーケドールと出会い、結果を残すようになってから、いい意味で開き直ることができているのではないでしょうか。
ダービーで津村騎手が騎乗するビターエンダーは下位人気だと見られていますが、積極的に前に出ることができる1頭。前残りの決着が多い現在の東京競馬場は向いていると思います。穴を開けるとしたらこのタッグかもしれません」(競馬誌ライター)
津村騎手は10日に落馬し、現在は大事を取って戦線離脱中。だが日本ダービー開催週に復帰するといい、最終追い切りにも騎乗する予定だと、ビターエンダーを管理する相沢師は明かしている。
覚醒した感すらある津村騎手。『競馬の頂点を決めるレース』では、ビターエンダーで“大胆”かつ、ある意味“大雑把”な騎乗を披露し、見る者の度肝を抜いてもらいたい。