JRA安田記念(G1)「3頭出し」全滅の大誤算……ダノンキングリー、ダノンプレミアム、ダノンスマッシュを襲った「前日の不運」とは
7日、日曜東京メイン・安田記念(G1)は3番人気グランアレグリアが、単勝オッズ1.3倍に支持されたアーモンドアイを破って優勝。史上初となる8冠を狙った最強女王の野望を打ち砕いた。
女王打倒に並々ならぬ決意を見せていたのは18年の阪神JF(G1)をダノンファンタジーで制して以来、G1勝利から遠ざかっているダノックスだ。
4番人気ダノンプレミアム(牡5、栗東・中内田充正厩舎)、5番人気ダノンキングリー(牡4、美浦・萩原清厩舎)、8番人気ダノンスマッシュ(牡5、栗東・安田隆行厩舎)の3頭を送り込んだ。
また、ダノンスマッシュについては前走の京王杯SC(G2)勝利後に陣営が「秋はセントウルS(G2)からスプリンターズS(G1)を使えたらなと思っています」とコメントしていたように、安田記念を使う予定がなかった上での執念の参戦だった。
「3本の矢」を用意する最強布陣で挑んだこともダノックスの安田記念に懸ける「本気度」の高さが分かる。
春の東京開催はインコースを先行した馬の好走が多く見られていた。それだけに8枠14番のダノンスマッシュはともかくとして、1枠1番のダノンプレミアム、2枠2番のダノンキングリーにとっては内のグリーンベルトを通れる絶好の枠だったといえる。
しかし、そんな意気込みを嘲笑うかのように降りかかった災難が、土曜夜の雨だった。
東京地方に夜半過ぎから降り続いた雨の影響で芝の状態が重にまで悪化したのである。日曜は晴天だったこともあり、稍重まで回復したものの、良馬場での開催とはならなかった。
ダノンキングリーで7着に敗れた戸崎圭太騎手は「ペースが落ち着いた時にノメって、ハミを執ってしまった。それで伸び切れなかった」と振り返り、ダノンプレミアムで13着に敗れたD.レーン騎手は「馬場に脚を取られてしまいました」と、昨夜の雨で上滑りしやすい馬場になったことを敗因に挙げた。
「予報では土曜の雨はもう少し早いタイミングで降ると思われましたが、後ろにズレたことも大きく影響したといえそうです。水捌けのいい東京競馬場ですからもう少し早く回復すると思われましたが、安田記念の発走時刻になっても稍重にとどまってしまいました。
雨が残ったことで内側の馬場の傷みが進み、本来有利なはずの内枠がかえって仇となったのは不運というほかありません。それにしても前走を不良で3着していたダノンプレミアムがここまで大崩れしたのは意外でした」(競馬記者)
本質的にスプリンターといえるダノンスマッシュの8着はまだしも、勝ち負けを期待された2頭の凡走はダノックスとしては痛恨の極みとなっただろう。
秋G1では久々の美酒に酔うことができるだろうか。
ダノックスの試練は続く。