JRA【ユニコーンS(G3)展望】今世代は超ハイレベル!? 「ダート3戦3勝」デュードヴァンに「超大物」カフェファラオ&レッチェバロックの三つ巴か
21日、東京競馬場ではユニコーンS(G3)が行われる。過去10年で1~3番人気が「10-7-4-9」と、“荒れない”重賞レースの一つ。今後のダート界を占う、3歳馬限定の重要な一戦だ。
M.デムーロ騎手が騎乗を予定しているデュードヴァン(牡3歳、美浦・加藤征弘厩舎)は、デクラレーションオブウォー産駒の持ち込み馬だ。
これまで4戦3勝で、着外は2走前のアーリントンC(G3)だけ。果敢に芝の重賞レースに挑戦したが11着に終わった。ダートでは今回と同じ東京1600mで3戦3勝。勝ち方に派手さはないが、コース実績と安定感はメンバー屈指といえるだろう。
ダート3戦は良、重、不良と、すべて違う馬場で結果を残しているところも好材料。脚質的にも自在性がある点は大きな魅力だ。鞍上のデムーロ騎手は、昨年デュープロセスで2着、一昨年はルヴァンスレーヴで優勝している。テン乗りとなるが、デュードヴァン自身がこれまで全て異なる鞍上で結果を残しており、心配はないだろう。
外国産馬のカフェファラオ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)も飛躍が期待される1頭だ。
昨年12月の新馬戦は、楽に逃げて10馬身差をつける圧勝劇を収めた。その時の2着馬バーナードループは、その後3連勝で兵庫チャンピオンシップ(G2)を優勝。負かした相手も強かったことで、カフェファラオの評価はより高まった。
2戦目のヒヤシンスS(L)は、出遅れて後方からの競馬となったが、直線豪快に差し切り、2連勝。アメリカンファラオ産駒は、JRAで7頭がデビューしているが、実に6頭が勝ち上がっている。産駒にとっては、これが初のJRA重賞挑戦。D.レーン騎手を背にデビュー3連勝を狙う。
もう1頭の2戦2勝馬も外国産馬だ。レッチェバロック(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)は、デビュー戦で2着に2秒0差をつける完勝。2戦目は1勝クラスで1秒4(9馬身)差をつけた。2戦とも牡馬を相手に、東京1400mを楽に逃げ切った。相手は一気に強化されるが、すんなり逃げることができれば勝機はあるだろう。
不安があるとすれば、前走から1ハロン距離が延びる点だ。距離延長組は、このレース過去10年で「1-2-2-40」と苦戦。また、牝馬の優勝は2011年のアイアムアクトレスから出ておらず、2012年以降、17連敗中。ここはC.ルメール騎手の手綱さばきに注目だ。
ここまで名前を挙げた3頭は全て関東馬だが、関西にも実力馬がそろっている。実績だけならフルフラット(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)の名前を一番に挙げるべきだったかもしれない。
3走前には、ダート経験がないままアメリカに遠征し、ブリーダーズCジュベナイル(G1)に挑戦した。結果は5着に終わったが、貴重な経験を積み、前走のサンバサウジダービー制覇につなげた。
ただし、日本のダートは2走前に京都1勝クラスで1度走っただけ。結果は2着だったが、日本のダート適性に疑問の声があるのも事実だ。血統的にも父スパイツタウンは、明らかな短距離志向。その産駒はJRAのダートで45勝しているが、1600m以上では2勝だけ。勝率は1400m以下の「20.4%」に対し、1600m以上は「3.4%」まで落ち込んでしまうが、フルフラットは距離の壁を突破できるか。