JRA函館スプリントS(G3)武豊「結果を出せてホッとしている」ダイアトニック完璧エスコートで早くも秋の頂点見えた! 北村友一には春の悪夢が再現か……
21日、函館競馬場ではサマースプリントシリーズの第1戦・函館スプリントS(G3)が行われ、武豊騎手のダイアトニック(牡5、栗東・安田隆行厩舎)が2着ダイメイフジに2馬身差をつける完勝。ただ1頭58キロを背負ったが、着差以上の大楽勝で秋の大一番に弾みをつけた。
前走の高松宮記念(G1)で、勝利まであと一歩のところを直線でクリノガウディー(1位入線4位降着)に寄られる決定的な不利もあり、3着(4位入線繰り上がり)に敗れたうっ憤を晴らす快勝だ。今回は前走で手綱を取った北村友一騎手から武豊騎手への乗り替わり。初の函館コースで58キロが懸念されたが、満点回答で結果を出した。
レースはダイメイフジが外から主張して逃げたが、前半3F33秒4はダイアトニックにとっては口を割るところを見せたほどの楽な流れだった。スッと2番手につけると逃げ馬をピタリとマーク。直線では満を持して目標を交わすだけの完璧なレース運び。ゴール前では流す余裕すらあった。
馬が強かったのはもちろんだが、騎乗した武豊騎手の手綱捌きも冴えた。レース後のコメントでは「断然の1番人気だったので結果を出せてホッとしている」と謙遜してみせたが、「ハナを切ってもいいくらいの気持ちでいった」と展開を完璧に読み切ったポジション取りも、ダイアトニックの強さをより引き立たせることに一役買ったといえるだろう。
父ロードカナロアが2着に惜敗したのが函館スプリントSだ。昨年は父の無念を晴らすべくダノンスマッシュが出走を予定していたものの、禁止薬物騒ぎで除外の憂き目にあったため、実現しなかった。その翌年「父の日」に行われたこの日、同じくロードカナロア産駒のダイアトニックがリベンジを決めたことになる。
予定通りならば、次走は春に発表されたキーンランドC(G3)からスプリンターズS(G1)のローテーションが濃厚だ。
「高松宮記念の内容から期待が大きかった馬ですが、それでも予想以上の楽勝に驚いています。武豊騎手の乗り方も完璧でしたね。逃げた馬を行かせていつでも交わせる手応えでの2番手でした。
ペースはそれほど流れませんでしたし、あれをやられると後ろの馬には厳しいです。後方勢は脚を余す格好になりましたし、3着のジョーマンデリンも4番手につけていた馬でした。安定して好位で競馬ができるセンスの良さも大きな武器ですね」(競馬記者)
だが、前走までダイアトニックの主戦を務めていた北村友騎手にとっては元相棒の勝利も素直に喜べないかもしれない。春にはレシステンシアが桜花賞(G1)で武豊騎手に乗り替わりとなり、NHKマイルC(G1)でも手綱が戻ることなくC.ルメール騎手が騎乗した。
今度はダイアトニックがまたしても武豊騎手に乗り替わり、見事な勝利をあげている。
注目は今後の鞍上の行方だろう。初コンビで結果を出した武豊騎手の継続騎乗はあるのだろうか。