JRA「規格外」九州産ヨカヨカの衝撃再び!? 思い出される4年前「九州産馬の星」を襲った悲劇とは
JRAで活躍する大半のサラブレッドが北海道で生産されていることに対して、「九州産馬」はその名の通り、九州で生産育成された馬である。北海道と比較すれば、種牡馬や繁殖牝馬の質、馴致の技術などがまだまだ差があり、一般的には「九州産馬が活躍することは難しい」と言われている。
従って、多くの九州産馬は7月の九州産馬限定の新馬戦でデビューを飾り、そこを勝ち上がれば8月に行なわれているJRA唯一の九州産馬限定オープン・ひまわり賞に参戦する。
言い換えれば毎年のひまわり賞は、九州産馬の頂点を懸けた「九州産馬のダービー」のようなものである。
しかし、その一方で2012年以降、ひまわり賞の勝ち馬は12月に行われる2歳No.1決定戦・朝日杯FS(G1)、阪神JF(G1)のいずれかに出走して4年連続の最下位……。ひまわり賞を勝って以降、JRAで勝ち星を上げた馬さえ1頭もいないのが、九州産馬の置かれている現実だ。
そんな中、今年は異例の九州産馬が出現した。6月のデビュー戦を快勝したヨカヨカ(牝2歳、栗東・谷潔厩舎)である。
6月13日、ヨカヨカ陣営がデビューを決めたのは、お決まりの九州産馬限定レースではなく、“一般馬”相手の新馬戦だった。
今年のブリーズアップセールの公開調教で1番時計を叩き出すなど「規格外の九州産馬」としてデビュー前から注目を集めていたヨカヨカは、2番人気に支持される。最後の直線で1番人気のモントライゼとの叩き合いをアタマ差制してデビュー勝ちを飾った。
そんなヨカヨカの陣営はこの夏の目標を小倉2歳S(G3)とし、2戦目に「九州産馬のダービー」ひまわり賞ではなく、今週末15日に行われるフェニックス賞(OP)を選択。
ここを一般馬相手に勝つようなら、続く本番でも最有力視されるに違いない。
「新馬戦の着差こそアタマ差でしたが、3着には3馬身半差。ゴール前で接戦を演じた2着馬のモントライゼが、仕切り直しの未勝利戦で2着に1.7秒という大差をつける圧勝しています。
この事実からもヨカヨカはもう九州産馬の枠を超えて、2歳世代全体の中でも屈指の存在として注目されています」(競馬記者)
九州産馬ながら一般馬の新馬戦を快勝し、フェニックス賞に挑戦……思い出されるのは4年前、ヨカヨカと同じく「九州産馬の星」として期待されたカシノマストだ。