JRA戸崎圭太「武豊・ディープインパクト」のイメージ再現も……サトノフラッグ巻き返し必至の菊花賞(G1)連対20頭中15頭の「共通点」とは
1つはサトノフラッグが見せた「非凡な加速力」だ。今年のセントライト記念は、逃げたバビットが1200m近いロングスパート合戦に持ち込む特殊な流れで、ラスト1000mは「11.8 – 11.6 – 11.9 – 12.4 – 12.7」というラップで推移している。
サトノフラッグが猛然とまくって行った3、4コーナー辺りも「11.9 – 12.4」と非常に速いペースで推移。そこを7番手から2番手まで押し上げたサトノフラッグの加速力を記者は高く評価しているようだ。
実際に今年3月の弥生賞に騎乗し、同じように3コーナー辺りからまくりを掛けた武豊騎手は「3コーナーから馬が動いてくれて、お父さんが中山を走る時と同じような感じで、ちょっと思い出しました」と、父ディープインパクトを彷彿とさせるような豪脚だったと語っている。
休み明けのセントライト記念では最後に止まってしまったが、本番であの強烈な勢いをゴールまで持続できれば、絶対王者コントレイルに「一泡吹かせられるかもしれない」(記者)とのことだった。
そして、もう1つが「まくり」が菊花賞で非常に有効な点だ。
過去10年の連対馬20頭の内、昨年の勝ち馬ワールドプレミアを筆頭に15頭がまくり(3コーナーから4コーナーにかけて通過順位が上昇)を掛けている。
菊花賞が行われる京都の外回りコースは3、4コーナーにかけて下り坂があり、まくりが決まりやすい舞台。それはセントライト記念が行われた中山の外回りコースとの共通点で、そこで強烈なまくりを見せたサトノフラッグに対して、記者は「試走としては満点に近い」と極めて高い評価を下しているから驚きだ。
「近年の菊花賞はコース形態上『まくり』がトレンドで、昨年もゴール前よりもラスト800mから200mまでが最も速いラップでした。
今年は逃げるバビットが隊列を引っ張ることになると思いますが、もうノーマークには出来ない存在。各馬も早めに捉えに動けば、セントライト記念と似たような流れになります。抜群の加速力を見せたサトノフラッグにとっては、非常にいい展開になると思いますよ」(同)
この春、期待された皐月賞(G1)で2番人気5着、日本ダービー(G1)では4番人気11着に沈んだサトノフラッグだが、陣営は「力負けなら納得するけど、レース後すぐ息が入ったところを見るとまるで本気で走っていない」と、あくまで強気だ。
最強女王アーモンドアイも管理する国枝栄調教師が「牡馬では厩舎歴代No.1」と評し、昨年騎乗したO.マーフィー騎手が「ダービー候補」として名を挙げれば、L.ヒューイットソン騎手も「潜在能力は皐月賞1、2着馬(コントレイル、サリオス)にも引けを取らない」と極めて高い評価を与えているサトノフラッグ。
未完の大器がこのままで終わるはずがない。最後の一冠で真価を発揮することができるか注目だ。